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□心を開いて
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kei*side
夏休みも開け2学期。
今日から転校生が来るという噂がクラス中を駆け巡っていた。
「ねえ、どんな子がくるんだろうね!」
「男の子か女の子かも知りたいよね」
「たぶん、伊野尾くんの隣にくるよね、男だったら仲良くしたいね」
前の席の山田と知念、中島が話しているのを俺は後ろから聞いていた。
誰が来たって同じ。別に転校生一人でそんなに盛り上げれるなんてハッピーな奴らだな。
俺の隣には一つ席が空いている。
他を見渡せば空いている席なんてないからたぶんここに来るんだろう。
そんなことを考え、前の3人はわくわく会話なんてしているとガラっと扉が開いた。
担任の先生と一緒に転校生らしき人。
女?いや、学ランきてるし男か。
なんか、女みてえなやつだな
「ねえ!あの子?可愛い子だね」
「いやいや、山ちゃんよりかは可愛いけど僕には敵わないよ」
「ほんと、女の子みたい」
転校生が入ってくるなり当たり前のように教室はざわつき、男子のコソコソ話をする感じや女子の小さな黄色い悲鳴が聞こえてくる。
「はい、静かにしろ!」
担任がそう言えば、体勢は全員前を向き、その転校生の方を凝視している。
「あ、有岡大貴ですっ、千葉からきました。よろしくお願いしますっ…」
緊張しているみたいで、声が震えている。
と、同時に大きな拍手が起こり、担任によって俺の隣の席に案内された。
前3人がフレンドリーに挨拶する中俺は、顔をうつ伏せて睡眠体勢に入った。
「…ばかばかしい」
友達なんていらないんだよ。