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□席がえ
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daiki*side


「席替えするぞー」


担任の何気ない一言にみんながざわつきだす。
いくら小学生から中学生になったって、中学生から高校生になったって席替えがみんなにとって一大イベントの一つに変わりはない。


一番後ろの俺にとっちゃ、席替えなんてしなくてもいいのにな、なんて思うけど。

ふらっと視線を前のほうに移せば、風にゆらゆらと揺れる髪の毛。いのちゃんはうつ伏せて寝ているけどすっごい絵になってる。


いのちゃんは前から二番目の席で俺からは遠い位置にいるわけであり…。


人気者の彼の隣を狙っている女子はたくさんいるだろうし。

仮に俺は男であるから隣にはなれない。
だから前後とか同じ班になれればいいな、って。


「はい、アリーの番だよ〜」


アリーって呼ぶなよ。


前からまわってきたくじ引きを引き、隣にまわす。

お願いします…いのちゃんと同じ班になれますように…。


「ほら、慧!お前の番だぞ。」

「ん〜だいちゃん隣になるとこ引いといてよ〜」


はい?
クラス全員の視線が俺に集まる。


わわわ、女の子たち…こわいって…


「ちょっと、いのちゃん?なに言ってんの?」

「だいちゃんの隣じゃないと嫌だ〜」


さっきまで寝てたくせに。
それに絵になっていたのに。なんか…

もう…/



「もう、有岡!お前の番号いくつだ!」

「え?…え、えと…22です」

黒板に適当に書かれた座席表を見れば22番は俺が今座っているところの真横だった。


なんだ、あんま変わりないじゃん。


「じゃあその隣は…23番は伊野尾でいいか?」

「うわ、先生優しい!ありがとう!もう寝ない〜」

「なに都合のいいこと言ってるんだよ」


…あ、なんか隣に来ちゃったよ。


結局いのちゃんのわがままのせいで微調整が入った。


「いのちゃん、わがまま」

「ん。でもだいちゃんのためだもん」

「なに、言ってんの…っ」


改めて指定された席に着き、横をみればあれだけ近くにいてほしいな、と思っていたいのちゃんがいる。


「だいちゃんが隣になりたい、って言ったんじゃん」

「言ってない!」


大きく反論する俺にいのちゃんが椅子ごとこっちに身を寄せてきた。


いのちゃんと俺の顔の距離はほんの数センチしかなく少しでも動いたらぶつかる。


「な、なんだよっ…/」

「だいちゃん、よろしくね!」


満面の笑みでそう言ういのちゃんに反射的に頷く。


「こ、こちらこそっ」



*fin*
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