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□後輩・先輩
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「やまだー!早く行こうよ!」


「もう、だいちゃんまって!早すぎ…っ」



小学校を卒業、そして春からこの中学に入学し、まだ緊張している俺たちのクラスにガラッと入ってきた。



「みなさん、ご入学おめでとうございます」



生徒会役員だというその先輩は、何をするのかと思いきや入学式の段取りについて説明をし始めた。


男なのにとてもきれいな顔立ちで、教室が少しざわついていたのをハッキリ覚えている。


思えばこの時みんなに嫉妬心が生まれていた気がする。


「だいちゃん、部活何にするの?」


「え…、んーバスケ?」


「だいちゃん、バスケ?え、まじですか」


小学校のクラブ活動とは違って部活というものがあるわけで、一通り部活見学をした。


もちろん俺は必死で探した。
入学式のときに俺たちのクラスにきて説明をしてくれ、俺が一目で夢中になった3年生の、
…伊野尾先輩、どこだろう。


野球部、テニス部、サッカー部、陸上部…
いくら1年生が見学にきているからといっても先輩たちは真剣に活動しているし、何より人が多くて探すのが大変だった。


バスケ部の見学に山田と行った時、その先輩の姿が見えた。



「あ、あの先輩、入学式のときに来た人じゃん」


「え、あぁ…そういえば」


そこにいたのは紛れもなく伊野尾先輩で華麗なドリブルにパス、シュート練習をしていた。

山田に言われる前にとっくに気付いていたけど、わざと思い出したふりをしてみた。
もちろん、"入学式にきた人"がだれなのか、そんなの知っていた。


入学してからずっと気になっていたんだもん


俺たち2人がその先輩のことをずっとみていると、向こうも視線に気づいたのか一瞬こっちを向いてくれた。


そしてドリブルしていたボールを他の仲間に渡し、こっちに手を振りながら向かってきた。


「あ、」


俺は思わず山田の後ろに隠れた。
…だって急に緊張してきたんだもん。


「え?だいちゃん?あ、伊野尾先輩、こんにちは」


「あ、俺の名前知っててくれたんだ、こんにちはっ」


「入学式のときの説明で…」


緊張して顔すら出せない俺とは反対に淡々と会話を進めていく山田。


ああ、そこのクラスの子なんだね、なんて言いながら伊野尾先輩はタオルで汗を拭いている。


か、かっこいい…/



「えと、後ろにいる子…」


「ほら、だいちゃん!!」


伊野尾先輩が俺の存在に気づいてくれたみたいで。山田が俺の肩をとり、前にくるように動かした。…ぶつかりそうな距離で彼がいる。


「ありっ…、有岡…だいきです、、」


緊張しすぎて心臓がもたない。
自己紹介するだけなのに噛んじゃって。恥ずかしい、、


「だいちゃんね、よろしく。俺伊野尾慧。副部長です」


「は、はい!よろしくお願いします…っ!」


さわやかでキラキラした笑顔が一瞬にして俺の心を捉えた。もう、どうしよう


「おい、伊野尾!はじめるぞ!!」


「もう、なんなんだよ〜。ゆっくり話したかったのにごめんね、じゃあ!またきてね」


そう言って伊野尾先輩は部活へと戻って行った。


…俺、決めた。バスケ部入る。



「だいちゃん、次いこうよ〜、調理部!ねえ、だいちゃん!だいちゃんってば!!!」


さっきまでの時間が夢のようで山田の声は耳に入ってこなかった。


「もう、俺一人でいっちゃうよ〜?」


その後、2、3分意識が飛んでいたみたいで。戻った時にはそこに山田はいなかった。


「あれ…やまだ?、あ、いた!もう!先に行くなんてひど!」


気付けば山田は昇降口に向かっていて歩いていた。


「ちょっと、やまだ〜!!待ってくださいよ〜」
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