shortT
□雨の日には
1ページ/2ページ
「あーあ、降ってる。」
用事を済ませて改札を出るとそこから歩き出すことが出来ない状況にいた。
それもそのはず。
まわりを見回すと、バックの中から傘を取り出し歩き出す。
なんの迷いもなく流れるように鞄から携帯電話を取り出しボタンを押した。
「あ、もしもし翔ちゃん?雨降ってる。今駅にいるから、きて」
そう一言言うと一方的に電話を切る。。
そうすれば必ず来るってわかっているから。
そうじゃなくても彼の性格からすれば飛んできてくれることは容易に想像できた。
駅につくまで時間もまだありそうだから適当に店に入る。
「あ、このお菓子翔ちゃん好きそう。んふふ」
「こっちの方が好きかな」
「最近おじさんになったしこっちの方が・・あ。」
気付けば彼のことばかりが頭に焼き付いて離れない。
ふと鞄に目をやると携帯が光っていた。
あ、翔ちゃんだ。
「はい、もしもし?」
「ニノ?着いたよ、東口でいいんだよな?」
「はい、ありがとう。すぐ行きます」
こんな小さな会話でも俺にとっては幸せ。
顔が緩みそうになる。