ヘタリア 小説

□ *〜ドロシーの場合〜 プロローグ
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「本当にムカつく。よしっ!サボろう!!」
そして私は教室を素通りし、
屋上を目指す。


今日、彼氏に振られた。
振った理由が
「大切にしているものが多すぎる。」
らしい。

確かに大切なものは沢山ある。
アニメやゲームが好きだから、
夏コミやイベントや発売日とかで
彼氏より優先することは結構あった。
それに、生徒会の会計の仕事もある。

確かに私も悪いところはあるけれど、
その事を含めて好きになってもらったと思っていたからショックだ。

それに不満ならもっと言ってもらいたかった。
いつも彼は「いいよ、大丈夫だよ」と言って私が誘いを断ると笑顔で許してくれた。

今考えれば最低だなと思う。

なんで彼の寂しそうな笑顔に気づかなかったんだろう。

でも、
泣けないのはなんでかな?
やだなぁ。こんな自分に腹が立つ。

彼氏に振られた直後なのに、
ゲームをしている私もどうかと思うけど……。

こんな時にしているのに楽しいと思うことはいけないことだろうか?
でも面白いゲームもいけないと思う。

「あー、楽しかったぁ。」
攻略を終えて満足する。


私は屋上の床で寝転びながら
ゴロゴロとする。
冷たくて気持ちがいいなぁ。

恋ってなんだろう?
私はふと考えた。
なんか違った。
前の彼氏のことは確かに好きだった。
でもなんか違う。

どこまでも続く空に手を伸ばす。

やっぱ、 届かないか……… 。


そうして目をとじる。
私は眠りに落ちていった。


体を揺さぶられて私は目を覚ました。
「んー……。」
薄く目を開くと
呆れた顔をした会長と、
心配そうな顔をした書記がいた。

「あー…会長、本田さん。おはようございます。」
「お前こんな時間に何してるんだ?」
「えっ、今何時ですか?」
「6:42」
「あー、もうそんな時間なんだぁ」
「なんでお前はそんなにのんびりしてるんだ。生徒会の仕事もあるのに……」

またカークランド会長の説教が始まる。私はそれを聞き流しつつ空を見上げる。
この季節は日が短いので、
空にはもう満点の星空がキラキラと瞬いていた。

会長の話はまだ続いているようだけど、私は星空をじっと見上げる。

「だからなあ、お前は……」
「会長!!天体観測しましょう!」
それまで話をたらたらと続けていた会長の話がやっと止まる。

沈黙

………………………。



いや、誰かしゃべろうよ!!
心の中でつっこむ。

本田さんはおずおずと手をあげる。
「あの、私は天体観測に賛成です。
星の観察の課題もありますし…。」

「………日本が言うならやってやらんこともない。」
「本当ですか!!」
「かっ勘違いするなよ!俺は生徒会の円滑な活動をねがってだな………」

「ありがとうございます会長!!」
私は思いっきり会長に抱きつく?
いや、体当たりをした。

「ぐふぁっ……!」
「さすが会長です!やったぁ!!」
「お前、離れろよ!」
いやいや言いながらも会長はあまり抵抗をしない。
素直じゃないなぁ、
とんだツンデレ野郎だ。


本田さんはその光景を優しく見守っている。
やっぱり生徒会のこの感じが好きだなと改めて思う。


そういうわけで、天体観測は明日の放課後することになって解散になった。
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