緋色の少女

□第七章
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アルを見守っていたアヤナミ達は、彼女が爆弾を抱き締めたことに目を疑った。上空に送り届けた後直ぐに戻ってくるとばかり思っていたのだから当然だ


なにしている


誰もがそう叫ぼうとしたその時、最悪の事態が起きた



「アル、さん…… ?」

「うそ、だよね」


腹に響く爆発音と共にアルの姿が消えた。いや、粉々になり吹っ飛んだ、という表現の方が正しいだろう

捕らえられていた男ですら、唖然と空を眺めた


その中でただ一人、依然と表情を変えない人物がいた。何かを感じとるように目を伏せ、そしていつもより低い声で告げた


「悪ふざけはよせ、アル」


起こった事を認めたくないが為の言葉かと思った。だが、アヤナミの表情は落ち着いている
どういう意味なのかと彼を見つめる皆の耳に、不満声が聞こえてきた


【薄情だなー悲しむとかそういうのはしてくれないわけ?】


死んだとばかり思った人間の声にアヤナミ以外はきょろきょろと辺りを見渡す。だが、姿はどこにもない


「アル、どこにいるの?」


クロユリの言葉に今度は申し訳なさそうな声音が返ってきた


「あー流石に粉々になると時間がかかるみたい。とりあえず皆そこから出なよ。いつ落盤するかわからないし、それまでには元に戻ってるから」


アルの言っていることを理解しようにも現実離れし過ぎて信じがたい。それでも生きているなら理由なんてどうでもいいと皆はアルの言葉に従った


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