緋色の少女
□第六章
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「まさかアヤたんがアルたんを戦わせるとは思わなかったよー」
帰ろうとしないと思えばその話か
私はソファで勝手に話始めるヒュウガの言葉を一応聞きながら今回の報告書を書き上げる
「それに化物ってどういう意味かな?それにあの力、気になるなー」
「一度戦わせて☆」というヒュウガに、私は即答で却下した。「もしかして俺が負けると思ってる?」という言葉にも頷く
「ま、俺も流石に勝てる気しないけどねーでもどうして切り捨てなかったの?もしかしてアヤたんも勝てない?」
その言葉には少しだけ考えた。勝てるかどうかと言われれば否である確率は高い。だが殺せるか、と言われれば殺せるだろう。その気は毛頭無いが
それを伝えれば、ヒュウガは納得したように天井を仰いだ
「殺されたがってるもんね、 アルたん」
ヒュウガの言うようにあいつは殺されたがっている。誰でもない、私に
無論、私の所有物なのだから当然のことだ。生きるのも死ぬのも私次第という考えは大いに結構
だがあの女のことだ。何かしらの理由があるのだろう。気に入らないが、あれが素直に私に殺されたいと思うはずがないだろうから
「でさ、なんで切り捨てなかったの?本気で気に入ったの?」
わかっているにも関わらず聞いてきたためその質問は流したのだが、わざわざ話を戻したヒュウガ。どうやら捨てて欲しかったらしい
「ああ。それに、捨ててもお前が拾ってくるだろう」
「勿論☆今日のアルたん見て気持ちが抑えきれなくなりそうで内心焦ってんだよねー 」
「…あれは私のものだ」
「それでも想うのは自由でしょ?」
「妄想するのも」、とわざわざ付け加えたヒュウガにとりあえず鞭を振るった。言葉で言うよりもこの方がわかりやすいからだ
「……だ、だって本人無自覚だけどあんな純粋に"貴方達のこと傷つけたくない"っていう目で見られたら汚したくなるじゃん。ねぇねぇ、ヤるときは3人でし…」
バシーンッ
また訳のわからんことを言い始めたヒュウガに、私は鞭を振った。こいつがいると仕事が進まなくて困る
なのでそろそろ本題を吐かせて叩き出すことにした
「……調べてみたけど今も存在する教会含め、潰された所にも赤毛で赤目の女の子は存在しなかったよー。一応男も調べてみたけど情報無し。不思議な力も、俺達みたいなバスファイルや教会にいるセブンゴーストの力以外には確認されていない。つまり今回も収穫ゼロ」
「嫌になっちゃうねー」と緩い口調で報告しながら私に打たれたところをさするヒュウガ。勿論罪悪感、共に心配な気持ちなど起きてこない。いつものことな上に自業自得だからだ
「あれだけ目立つ容姿をしながら前にいた場所1つ探せぬとは…」
「ここまでくると調査員の役立たずっていうよりアルたんが何かをしたって仮説した方がしっくりくるねー」
そうなると本人に聞くしか手がなくなる。だが、 アルが素直に答えるとは考えにくい
「尋問して、力使って逃げられたら元も子もないし」
今更になってあの移動の力を見せたのはこのためかと気づかされ腹が立つが、同時に面白いとも思ってしまう。さて、どうやって吐かせるか…
記憶を覗くのもいいが、それをするにはあれをじっとさせている必要がある
「…あれの弱点を探せ」
「じゃあ見つけたらご褒美にアルたんとデートさせて!」
「……考えておこう」
本人のいないところで何了承してるんだ!とアルの声が聞こえてきそうだが案ずることはない。ヒュウガに見つけさせなければいい
「ーーーというわけだ」
「仰せのままに」
「了解です」
「おもしろそう!僕達が一番に見つけようね、ハルセ」
「はい。クロユリ様」
「…アヤたん、これはないと思う!」
うらめしそうに見るヒュウガを無視しながら私は何も知らないアルを頭に浮かべ、私はニヤリと口角を上げた
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