緋色の少女

□第五章
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私はここの人間とはほぼ関わりがないためどこの軍隊がーーといわれてもちんぷんかんぷん。とりあえず理解できたのはどっかの管轄が反帝国側を抑圧しに行ったのに潰されかけていてここにヘルプが来たと言うこと。そしてそれが全員参加だということ

デスクワークを逃れられると嬉しそうにしているヒュウガの隣ではたまりにたまっている書類を暗い顔で見つめるコナツが。クロユリはいつものようにハルセに抱えられ寝ているし大佐やアヤナミは少々呆れぎみだ。ということは相手はあまり強いところではないのだろう




「出陣」


それでも来いと言われれば行くしかない。アヤナミの言葉にリビドザイルは離陸した








「で、私は何もしなくてよろしいのですか?アヤナミ様」


断崖から形勢逆転しつつある戦を指揮官らしく見守っているアヤナミに私は聞いた。他の皆と違って残るように言われた私は暇だと言わんばかりにアヤナミを見上げる
この男との出会いは戦の中だ。私が平気なことくらい知っている筈だし弱いとも思われてないはず。なのに、アヤナミは私を出そうとしない。その真意が私には分からなかった。ベグライターというのはたてまえで戦闘に駆り出されるとばかり思っていたから


「お前が行かなくとも直ぐに終わる」

「……そーですか」


やはり読めない。何がしたいの?

断崖から足を放り出し、ぶらぶらとヒュウガ達の戦いを眺めていると、かすかに助けをこう声が耳に届いた気がした。声からして子供

どこ


私は立ち上がり辺りを見渡す。大佐の話ではここら一帯には反帝国側の人間しかいないと言っていた。なら、ここより離れたところだろうか
町からここまでの距離は被害が及ばない程度に離れている。だが、その間に1つ、白い建物が見えた。間の森林によって見えにくいが、確かにそこには建物があり、そして人がいた


"助けてっ"


見つけたからなのか、先程よりも声がしっかりと聞こえた気がした
戦に行くとよく聞こえるこの声。初めてではない。だから知っていた。この声を無視すれば後々自分が後悔することを


「……なんだ」



隣に立つアヤナミの服を掴む私に、彼は少しだけ驚いたように私に問う。その変化に気づくのはきっとブラックホークの人間だけ。私だっていつもなら気づいた。でも、彼の服を掴むことすら無意識の行動であった私は気づかない。早く、あそこへ行かなければということしか頭になかったから


「私にも行かせて。お願い」

誰かの下につくというのはやはり面倒だ。こうして了承を受けなければならないから。そう思ってもこの男の元を去ろうとしない私はきっと、どうかしてる

切羽詰まった表情に加え初めて私が心からお願いしたからだろうか。アヤナミは2、3秒私を見つめた後、言った




「かすり傷1つにつき追加の仕事1つだ。嫌ならば無傷で帰ってこい」





その言葉に私は挑戦的に口角を上げて返答する
この私があんな男共相手に怪我するはずがない


「了解っ!」


そして私はそこから飛び下り、姿を消した




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