歌の翼

□あたたかい記憶
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いつも元気で笑っている歌羽
それは、今日も変わらなかった


「たっだいまー!」



今日は何して遊ぼうか、と神威達の顔を浮かべ、心を踊らせながら学校から帰宅した歌羽は行きよりも元気な声で自分の帰りを知らせた

でも


「あれ?」



いつもならお帰り、と迎えてくれる祖母と神威に昴の声が無かった

不思議に首を傾げつつ、ランドセルをリビングの椅子に置き、まずは渇いた喉を潤すためにキッチンへと行く。歌羽専用にと作られた踏み台を運び、冷蔵庫に手を伸ばした歌羽はあることに気がついた


「ふたりとかいものにいってきます。かえったらみんなでおやつにしましょうね。なんだ、おかいものいっちゃったのかぁ」


帰ってきたら何よりも先にジュースを飲むと歌羽の行動パターンを熟知しているからこそ、祖母はわざわざ冷蔵庫に手紙を貼ったんだろう

まだ簡単な漢字しか読むことの出来ない歌羽はゆっくりとそれを音読し、つまらなさそうにジュースを飲んだ



神威達がいない上におやつはお預けされた歌羽は口を尖らせながら台から飛び降りた
宿題をしようにもやる気の起きない歌羽は暇だなとランドセルからファイルを取り出し親への手紙を探していたその時、ランドセルから手を離してしまったが為にそれは重みで椅子から落ちてしまった


「あぁー……」


やっちゃった、とため息をつきながら飛び出してしまった教科書を拾うべく机の下に潜る。勢いよく落ちてしまった為に遠くまで飛ばされた教科書を四つん這いで集めていると、玄関の方から声が聞こえた

それが神威達だと悟り、歌羽は急いでそれらをランドセルへと乱暴に突っ込み、机の下から出た。その中に1つ、元々入っていなかった物が混じっていたことなど気づかずに


急ぎすぎて頭も打ったのだが、そんなことは気にしてられない



「おかえり!!」




神威に飛び付き今日する遊びの計画を伝え、おやつのメニューを聞く歌羽の表情は先程のつまらなさそうな顔が嘘のように輝いていた

重いといいながらもしっかりと抱き止める神威を昴流は嬉しそうだね、とからかいながら仲良くリビングへと戻っていく
そんな三人を優しい目で祖母は見つめながらリビングを経由してキッチンへと向かう。先程歌羽が潜っていた机の下を一瞬だけ見てから




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