歌の翼
□病人=狼
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ファイside
「おはよ〜」
そう言って一人本を読んでいた歌羽ちゃんに笑顔を向けると
「……ファイ、そこ座って」
「んー?」
読んでいた本から顔を上げ、俺を凝視した歌羽ちゃんは、台所に行こうとする俺を止めて椅子へと座らせた
「え……?」
コツン。そんな軽い音を立てたと思ったら、目の前には歌羽ちゃんのドアップが。それには流石に思考がストップし、何を言えば良いのかがわからなくなる
だって好きな女の子の顔が目の前にあるのだ。どうも思わないわけがない
吸い込まれるような彼女の瞳に抵抗すらする余地も与えられずに捉えられていると
「……やっぱり。ファイ、熱あるでしょ」
熱いよ、と顔を話した歌羽ちゃんは俺をまた見つめた
その言葉に体温を計っていたことに気づかされる。朝から体がだるい気はしていたけど、熱があるとは思わなかった。通りで思考がしっかりしないはずだ
だけどまぁ大丈夫だろう、と俺はまさかーなんて誤魔化して笑ってみれば、歌羽ちゃんはため息をついた後、俺を強制的に部屋へと連行した
「ほら、寝てろ」
「もっと優しくしてよー俺、病人なのにぃ」
部屋まで連れてきてあげたんだから十分優しいっつーの、と雑に布団を被せ、歌羽ちゃんは扉へと近づいて行った
「一緒にいてくれないのー?」
なんて、返答など聞かずともわかっているのに口に出してみれば、やはり彼女は予想を裏切らない返答をふる
「移ったら嫌だし」
さくらちゃんなら一緒にいるくせにーと言い返してみれば、さくらは女の子だからね、と呆れ顔で彼女は出ていった。大人しくしてなよ、と言い残して
相変わらず男には厳しいねぇ、と嬉しいような嬉しくないような、そんな微妙な感情を抱きながら俺は回る頭に腕を置く
風邪なんてほとんど引いたら事がないためどう対象すればいいのかが良くわからない。大丈夫だと思っていたけど、横になってみれば以外と重症であることに気づかされる
「…熱い……」
そう、呟いて、俺は歌羽ちゃんの言い付け通り寝ることにした。どうやら目を瞑るだけで眠りへと誘われそうだったから
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