歌の翼
□王様ゲーム
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「王様だーれだ!」
モコナの手から一斉に割り箸を引き、それを他人に見えないように隠しながら自分のを確認する
3…か
王様でないことに残念に思いながら―だって王様が一番安全だから―回りを見渡せば
「あ♪モコナだ!」
誰が王様かと聞いたモコナ自身が王様だった
あぁ、一番危険そうでこのルールをよく理解してる人が引いてしまった…
私はどうか3番とだけは言われないことを願う
「えっとねーじゃあ1番と6番が恋人繋ぎでリビング一周!」
「いきなりそっち方面でいきますか、モコナ」
勿論!これぞ王様ゲームの醍醐味!と言っているモコナに苦笑いしながら回りを見渡せばさくらと小狼が割り箸を挙げている。どうやら二人が1と6みたいだ
これまたぴったり!
なんて思いつつ、黒鋼さんとファイさんと哉汰の3人の中で手を繋いだら面白かったのにと少しだけ残念に思ったり
「歌羽ちゃん、恋人繋ぎってなあに?」
なかなか手を繋がない二人を眺めているとさくらがコソッと聞いてくる。それにちょっぴり驚きながらも小狼を見てみると、小狼もわかっていないらしかった
知らないもんなんだ、なんて思いながら二人を立たせて横に並ばせ、手を繋がせる
「こうやって指を絡ませてね…よし、これが恋人繋ぎだよ!」
初々しくも二人で頬を染めながら「いきましょうか」と微笑む小狼がリードしながらリビングを歩き始める
「…こんなのばっかなのか、このゲーム」
まさかとは思ったが…と言いたげに哉汰は呆れたように私を見る
「うん…というよりこれはまだ序の口だよ」
「へぇー歌羽ちゃんもしたことあるんだー」
私と哉汰の会話に加わってきたファイさんは楽しそうな表情をしている
なんとなくファイさんも王様にしてはいけないタイプのような気がした。何と言うか…持ってる人の番号とか予測出来そうだし
「まぁ、男女がそれなりに集まれば定番のゲームですからねー‥」
「どんなことしたの?」
モコナは興味心身っと顔に書かれたような顔を私に向ける
あ、因みにさくら達を放置にしてる訳じゃないよ?いい雰囲気の二人を邪魔しないように空気を読んでいるんです
「歌ったり踊ったり、あんな風に歩かされたりお姫様だっこされたり、一番酷かったのは紙一枚越しのキスだったかなぁ…」
「「はぁ!?」」
「ふぅーん…」
「おぉー!」
どうやらキスという単語に驚いたのかなんなのか、3人は少しだけ眉間にシワを寄せる。勿論モコナは楽しそうに誰と誰と!と聞いてくる
いや、聞いてもどうせ知らない人じゃん
なんて思いながら何故かいたい視線を気のせいだと言い聞かせながら答える
「えーっと確か…あ、二人ともお帰り〜」
私が誰とだったか話そうとしたとき丁度ゆでダコになった二人が帰ってきた。そんな二人に言葉をかけながら皆から割り箸を回収する
「はい。次引いてー」
とか言いながらさらっと流してみるもやっぱり3人の目が怖い。しかもモコナは話を中断させたのにも関わらず何故か楽しそう
何でだろう?
なんて疑問はどうせ答えなんかわからないだろうから気にしないことにした
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