歌の翼

□最後の世界
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ぶわっと風が私に吹きかける
それが止んでから目を開けると、ついた場所は緑が覆い茂った森。そして少し先にはレンガ造りの家が一軒
私は見える家を目指して歩いていくとガチャッと音を立てて中から人が出てきた
その人物は待っていたかのように私を見据え

"お帰りなさい"

と口を動かした

「っ‥―ただいま!!」

久しぶりに会った大好きなお祖母ちゃん。色々な思いが溢れてきて涙が止まらない。そんな状況の中で、私はお祖母ちゃんに抱きついた

頭を撫でてくれる優しい手。それが

帰ってきたんだ

と、私に改めて教えてくれた


"今日はゆくっりお休み
お風呂も沸いているし
これからのことはまた、明日考えましょう"

中にはいると、リビングの机の上に置かれたメモ帳にはお祖母ちゃんの字でそう書かれている

「…知ってたんだね、お祖母ちゃんは。始まりも、私がいつ帰ってくるのかも」

そう確認を取るように聞いてみると、お祖母ちゃんは困ったように笑った。その笑顔が、こうなることを知っていたお祖母ちゃんの心情を物語っている

お祖母ちゃんも、あの時の私と同じ思いだったんだね

知ってても言えない苦しさは私も知っている。だからそれ以上は何も聞かない

「ありがとう、お祖母ちゃん。大好きだよ!」

ずっと言いたかったお礼と言葉を伝え、私はお祖母ちゃんの言葉の通り休むことにした
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