歌の翼

□インフィニティ
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ここは…


ヒラヒラ――


桜…?


真っ暗な世界。そこには桜の木以外は何もなかった


また寝てるんだ、私


最近、私は気づいたらいつも寝ている。そして、ずっと夢を視ていた。ある人達の過去を
でも、神視点じゃない夢は久しぶりだ

「え、歌羽ちゃん?」

ビクッ

人がいるとは思っていなかったため、いきなり声をかけられて体が強ばる。でも聞き覚えのある声に恐る恐る振り向いてみると

「あ、ごめん。驚かせるつもりはなかったんだけど‥」

そこにはすまなさそうする四月一日がいた

「!四月一日!怪我大丈夫!?」

「へ?」

いきなりの言葉に四月一日はとても間抜けな顔をした

私が悪いとはわかっているけど、そんな顔されたら心配よりもいたずら心の方が勝ってしまう

「あ、でもそんな変な顔出来るなら大丈夫そうだね」

「関係ないと思うけど!?というより変なの?!」

四月一日は自分の顔をペタペタと触る

「あはは、ナイス突っ込み!」

「歌羽ちゃん・・」

侑子さんみたいなことしないでよと、項垂れて言う四月一日に悪びれなくごめんごめんと私は謝った
そして、ようやく本題へと入る

こんなことをせずにさっさと本題に入れよと言ったそこの貴方。それは禁句だよ。慎みなさい(笑)

「怪我、もう平気?」

桜の木の枝に腰かけ、さっきとはうってかわり、真剣に聞く

「うん。皆が助けてくれたから」

「そっか……ごめんね」

そう謝れば四月一日はどうして?と首を傾げる

「何も出来なくて。四月一日はいつも私のこと助けてくれたのに…」

「そんなことないよ。歌羽ちゃんの笑顔を見て元気になれたよ。ありがとう。だからそんな顔しないで、笑って?」

何もしてないのにお礼を言ってくれる四月一日。しかも、逆に励まされた

「侑子さんに言われたんだ。笑ってないと四月一日に心配されるって。本当にそうなっちゃった」

そう話せば「さすが侑子さん」と四月一日は笑う
それでもやっぱり何もしてあげられないことに歯がゆくなり

「ねぇ、私に何かしてほしいこととかない?」

と、してほしいことを質問した

「笑ってくれるだけで十分「それ以外。私の気がすまないの」といわれても…」

四月一日は私の言葉に困ったように苦笑いする。別に困らせたいわけじゃない。でも、やっぱり四月一日に何かしたかった。聞いてまですることじゃないと自分でも思いながら

四月一日は少し考える素振りをする

「んー…あ!それなら歌ってよ」

名案だと言わんばかりに顔を明るくする四月一日

「え?」

「歌羽ちゃんの歌。俺、凄く好きなんだ」

そう言って四月一日はお願いと優しく笑う
そんなことでいいのかな。そう思ったけど、四月一日がお願いと言うんだからそれでいいんだろうと自分に言い聞かせる。それに、私の歌が好きだと言われてすごく嬉しかった

「歌羽ちゃんの優しい歌、聞かせて?」

「‥うん!四月一日のために、目が覚めるまでずっと歌い続ける!!」

「ほ、ほどほどでいいよ(苦笑)」

なんて苦笑いする四月一日の前に立ち、私はいろんな曲を歌った。それに目を瞑り聞き入ってくれる四月一日

何も出来なくてごめんね。それといつもありがとう。これからも四月一日がずっと笑い続けていられますように

そう願って――
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