歌の翼

□インフィニティ
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哉汰side


ガチャ

「みんな!怪我ない!?」

扉を開けると、モコナが心配そうに飛び付いてくる

おかえりとかではなく最近ではそれが一般的になってきた
何故こんなにもモコナは心配しているのか。それは、俺達5人が参加しているあるもののせい

三ヶ月前
この国、インフィニティに着いた俺達
ここでは、人間でチェスをする大会が行われており、それに俺達は参加している
理由はこの大会の優勝賞品である賞金を手に入れるため。それを前に着いた国の復興に使えるようにしてほしいとさくらが言ったからだ

でも、きっとさくらの狙いは賞金じゃない。多分他に優勝すれば何かあるんだろう。それに気づいてるのは俺だけじゃないはずだ。黒鋼や『小狼』はわからないが、少なくともファイはわかっていながらさくのの望み通りにしている

それぞれ胸のうちに何かを隠しながら、俺達は共にチェスに参加していた




さくら、モコナ、『小狼』が部屋に下がり、俺と黒鋼とファイだけがリビングに残った

「姫宮は?」

「モコナが言うに、今日は一度も起きなかったって」

「今日は1日か」

「ああ。日に日に延びてる」

今までなら俺達を笑顔で出迎えてくれていた姫宮。でも、今ではほとんど寝ている。東京からだろうか。どんなに揺すっても自分から起きない限り、起きなくなっていた。起きていたとしても、ずっと目を擦っていることが多い

「ファイ」

俺は名を呼びながら手首を自分切り、血を流した手をファイに差し出す。それをファイは何も言わずに舐めた。昨日は黒鋼で今日は俺
毎日日代わりに俺達はファイに血を与えていた

「なぁ、気づいたか?」

「ああ」

「見張られてるね」

窓の外からの視線
壁に体を預けながら黒鋼も話に加わってくる

「次のチェスの相手か。それとも」

「今までの旅で俺達を見ていた奴等か」

まぁどちらかなんて確かめようもないが

「どちらにせよ…もう傷つけさせない」

血を飲み終わったファイはそう言い残してリビングを出ていった

はっきり言って、今の俺達の雰囲気は悪い
原因はいろいろあるが、1つはさくらやファイが何かを隠しているから。もう1つは多分

姫宮がいないから



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