歌の翼
□東京T
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ザッザッ ザッザッ
ファイを先頭に私達はとりあえず歩き回っていた
「お姫様だっこだー」
黒鋼がさくらの運び方を変えたことにモコナは楽しそうに言う
「あぁ?」
「ずっと担いでるとさくらちゃん、頭に血が上がっちゃうよ」
「歌羽はいつもお姫様抱っこだけどねー」
「モコナ、"無理矢理"って言葉が抜けてるよ」
「だって担いだら頭に血が上がっちゃうでしょー?」
「それならおんぶでいいです」
「それは一生しねぇな」
「なんで!?」
「小娘、しばらく黙ってろ」
「え、なんか皆ひどくない?!小狼〜!」
おんぶを勧めたら何故か呆れられる私
今日はさくらが寝てるため、私は小狼に抱きついた
「「「………」」」
「歌羽さん!?//(さ、三人の目が…!)」
「歌羽〜小狼が苦しがってるよー」
「え、あ!ごめん!」
「(モコナありがとう!)」
モコナの言葉に私は小狼から離れる。それに対して小狼が胸を撫で下ろしていることなど私は知らない
と言うより、なんか皆の視線が痛いような…ま、気のせいかな!
「…しかし何なんだここは」
「壊れた建物ばっかり」
「人も全くいないしね」
「小狼君の治療が出来るようなとこあればいいんだけどー」
この状況じゃ多分ないんじゃないか
そう思えるほどの酷さだった
「どうした?」
側にあった瓦礫を触る小狼に哉汰が声をかける
「この廃墟、瓦礫の角が丸いんだ」
「それがどうした」
「風化したにしても風だけでこうなるものなのか」
そんな疑問を吐いていると
ポツ ポツ
と雨が降ってきた
「いたい!いたいよぉ」
そう言って小狼の上着に身を隠すモコナ
サァァァ
「なんでぇ?」
「!?」
「焼けた!?」
皮膚を焼く、痛い雨が
「これ、酸性雨…?」
「このまま雨に当たってるとちょっとまずいねぇ」
ちょっとどころじゃない
瓦礫さえも溶かすんだから相当やばい
「おい、あの建物は倒壊してないみたいだぞ」
そう哉汰の指差す建物へ私達は走る