歌の翼

□東京T
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「姫は…」

「寝ているだけだ」

次の世界へ着いての第一声がさくらを心配するもの。本当に小狼にとってさくらは大切なんだなと実感する

「お前は何ともないのか」

ドキッ

そっぽ向きながら哉汰は私に聞く

「服が動きにくいこと以外は全然大丈夫だよ」

あと哉汰に対しての鼓動とね…

「そうか」

そう言って安心したように笑う顔にまた胸が鳴る

心臓に悪いよ…

「何とか逃げられたねー」

いつもの調子で私に後ろから抱きつきながら言うファイ

「でもファイ、魔法は使わないんじゃなかったの?」

そのモコナの質問に少しだけ空気が張り詰めた

「んー 一応今まで使ってきた魔法とはちょっと違ったんだけどねぇ。音を使った魔法で俺が習ったのとは別系統の魔法なんだけど」

「魔力は魔力だろ」

「かなぁ」

そう言ってやっぱりいつものようにヘラっと笑う

息が詰まるな‥こんな空気

「ファイー重いんだけどー」

私はどうにか空気を変えようとする
でも、どうしてかわからないけど逆効果だったみたいだ

「んー?俺そんなに重くないんだけどなぁ」

と言うファイは普通だけど

グイッ

「なら掴まるな、バカ」

私を引っ張った哉汰と横にいる黒鋼さんはとても不機嫌そうだった

「えーと、なんでしょう?」

しかも、何故か私をガン見する

「…いつからファイのこと呼び捨てとタメ口するようになったんだ?てか、何言われた」

「言え」とばかりに二人は私を見る

と言うより何故ファイが悪者っぽい言われ方?

「レコルト国からで、ファイが嫌って言ったからだけど‥」

うん、嘘ではないね
条件としてを着けなかっただけだし

「へぇー」

と、哉汰は今度は白けたように言う

聞いといてそれはないんじゃないかな?
哉汰はよくわからないけど、もしかして黒鋼さんもさん付けと敬語嫌いなのかな…?

「あの、黒鋼さんもさん付けとか止めますか…?」

そう聞けば何故か黒鋼さんは黙りこむ

な、なんで黙るの?もしかして違う理由…?

「やめ、なくていいですよね。すみませ「やめろ」え…」

「黒鋼でいい」

そう言って黒鋼さ…黒鋼は私から視線をそらした

えっと、とりあえず皆付け敬語無しってことでいいんだよね?

本当によくわからないけど、敬語はあまり得意じゃなかったからある意味ありがたかった

名前は抵抗あるけど‥(苦笑)

「あーあ、結局これで皆同じ土俵ってことかー」

「ま、そう言うことだな」

「黒様も結構積極的だしー」

「ふんっ」

「大変だぁ(主に歌羽ちゃんがだろうけどー)」

などと話していることは、いつもながら私は知らない

「さてー 今度はどんなとこかなぁ」

そう言って瓦礫から顔を覗かせたファイが見たものは

建物が無惨に倒壊し人気のない風景だった
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