歌の翼

□レコルト国
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「はぁー…」

私は歩きながら盛大にため息をつく

「まだ納得してねぇのかよ」

「だって…」

何故私がため息をついているのか
それは今着ている服のせい

「似合ってるのにー」

レースのついた裾の長いふんわりした藤色のワンピースを着ている私を褒めるファイさん。でも、私が言ってるのは似合う似合わないのことじゃない

「そういう意味じゃないんですよ…」

「ならなんだ」

「いや、普通に動きにくいじゃないですか」

そう言うと皆は「え、そんなこと?」と言った具合に目を見開く

「せめて膝丈くらいの長さならな…」

私はスカートをつかみ、またため息をつく

今回は動き回るのことになるのに…

「動き回らなければいいんだよ!」

「解決法になっていそうでなってないよ、モコナ」

「えぇー」

いやいや、えぇーじゃないんだよ(苦笑)

「じゃあ動く時は俺がお姫様抱っこしてあげるよーお姫様」

名案だと言いたげに私に笑いかけ、私の手をとり腰を折るファイさん

本当にファイさんって恥ずかしがることなくさらっと王子様言動しちゃうよねー
からかってるよりもこういう性格なのかもしれない
なんかだんだん慣れてきたような気がする。ファイさんのスキンシップに

取り合えずそんな恥ずかしいことら勿論却下なため、応断ろうと口を開きかけたとき

「「却下だ」」

「わっ、どうして黒鋼さんと哉汰が答えるんですか?」

私をファイさんから離すように後ろへ引っ張り、何故か私よりも先に答えるお二人

「そうだよー」

「あ、勿論却下ですけど」

「えぇー」

とか言いながらも楽しそうに笑うファイさん
こうやって皆で話している時は幾分かファイさんの笑顔が本物になる。ファイさんも変わっていってるんだな
そう実感していると自然と笑みがこぼれる

「…何笑ってんだ」

哉汰は何故か不機嫌そうに聞く

やっぱり哉汰には不思議とドキドキする

でも

「皆といると楽しいなーって、ね、モコナ♪」

ここにさくらと小狼が入ったらもっと楽しいだろうな

今回は楽しさの方が勝ちそうだ

「うん♪(特にこの四人のやり取りが!)」

笑顔は人をも笑顔にし、歌は人を幸せにする

やっぱりこの言葉は本当だね、おばあちゃん

私達はそれぞれ顔を見合わせて笑った
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