歌の翼
□偶像の国
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「いーけないんだ〜いけないんだ〜乙女の心をふみにじり〜」
「モコナ歌上手だねぇ」
ファイさんの肩の上で歌うモコナを拍手しながら誉めるファイさん
「歌詞はへんだけどな」
「それは言っちゃ駄目だよ、哉汰」
そんな二人を見ながら地獄耳でないと聞こえない、本当に小さな声で呟く哉汰に私は笑いながら突っ込む
さて、ここで問題です。どうしてそんな声を私は聞き取る事が出来たのでしょう?
さっしのいい方はもうお気づきかと思いますが、私はただいま哉汰の背中の上にいます。これを世間一般的に言うと、いわゆるおんぶです。
さっきまではお姫様抱っこだったんだけど、どうにか説得しておんぶに変えてもらいました。何故か歩くという選択肢は無かったというね、はい。
「哉汰、重いでしょ?そろそろ下ろして。もう大丈夫だから」
「…嘘つくな、まだ熱あんだろ。いいから黙っておぶられてろ(てか、全く重くねぇし)」
という会話が何度も繰り返されている
「なんでわかるのさ…ボソ」
「(こんなに密着してたら普通に気づくだろ、言わねぇけど)」
その呟きに哉汰が心の中で呟いていることなど、私が知るはずもなかった
まぁこんなこと考えてもどうにもならないため、私はひとつため息をついた後、ファイさん達の話に耳を傾ける
「―――星史郎さんとの戦い、途中になっちゃったからー?」
「…あの魔女何考えてんだよ。勝負の邪魔しやがって」
それは誰にもわからない最上級の謎だと思うなー
と心の中で意見を言う私
「その後もあわただしく移動したしな」
哉汰も話に加わり始めたが、寝ていた私は何があったのかわからない…ということになっているため話には加わらず傍観者となる