歌の翼
□桜都国V
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哉汰side
♪〜
優しい音色が店内に響く
皆は目を瞑り、その曲に聞き入っているなか、俺は演奏している姫宮をじっと見ていた
似てる
誰だかわからない。でも、その重なる人は忘れてはいけない、すごく大切な人だったような気がする。なのに、顔がはっきり思い浮かばない。誰だか思い出せない。
やっぱり俺は、姫宮と会ったことがあるのかもしれない。一番始めにできたこの疑問は少しずつ確信に変わっていく。根拠のない確信に
そうなっていくにつれて、頭の中で警告音が鳴り響く。これ以上確信を持つな、思い出すな、と
それでも、俺は思い出すことを選ぶ。それを望んでいない人間がいることにも気づかずに
side end