歌の翼
□桜都国U
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「…いきなり仕掛けて来るたぁどういう了見だ」
案内された部屋のソファーに座りながら黒鋼が喧嘩口調で聞く。
「テストよ。弱い相手に危ない情報渡しても仕方ないでしょう」
なるほどな、正論だ。
「で、俺達は?」
「合格よ」
そう言って女、情報屋の絵里衣が名前を聞いてきた。黒鋼は言わないと言いはる。が、名乗らないと話が進まないため俺が全員の名を言うと、絵里衣は助手を殴った。何処から出したのかわからないとても大きな金づちで。
理由は俺達が鬼児狩り二日目の新人に何負けてんだ!ということらしいが…
「「「………。」」」
「すっごーい」
すごいのか?!普通死ぬぞ、金づちなんかで殴られたら…ってそこはつっこんじゃ駄目なんだろうな
そう言えば前にも似たようなことがあったなと思いながら、俺は情報屋達がしていることを見守った
「ま、この三人は『ハの五段階』を一匹。『ハの二段階』を十九匹倒してるんだからそれなりの実力の持ち主ってことだけど」
そう思ってたなら殴ってやるなよ。
と、俺と同じことを思った助手の一人がぽつりとそれを漏らすと、もう一人のやつと一緒にまた殴られた。
…御愁傷様
「で、聞きたいことって?」
にーっこりと笑いながら絵里衣は聞いた。
こいつ絶対に敵にまわしちゃ駄目なやつだ。てか、やっと本題だな
「最近事件や事故はないですか?変わった伝説とかでもいいんです」
小狼がそう聞く。
絵里衣によると、事件や事故はしょっちゅうらしいが、最近鬼児の動向がおかしいらしい。出現地点では無いところに現れたりとかみたいだが…どこがおかしいんだ?普通、出現地点にしか現れないってところの方がおかしいと思うが。
「――あ、あと『新種』が現れたらしいわ」
「どんな奴だ?」
「詳しくは分かってないの。目撃しただけで、どの鬼児狩りも戦ったことがないし。ただ、とても美しい鬼児らしいわ」
美しい鬼児…ねぇ
あれをどうやったら美しくなるのか…少し興味がわくな
その後、会った人のいる場所を教えてもらい、ちゃっかり料金を請求されての帰り際
「なんだか最近この国、不安定みたいだからこまめに市役所いった方がいいわよ」
と言われた
気を付けろではなく市役所に行けと。なんかいろいろと不思議が多いところだな。ここは