歌の翼
□桜都国U
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哉汰side
「で、情報屋探しかよ」
「でも詳しい地図もらえましたし」
「それもだ、最初にあそこ(市役所)へ出向いた時に渡しゃいいだろうが」
むすっとしながら黒鋼が言う
「まぁそんなもんって言うんだからそんなもんなんだろ」
そんな話をしながら俺達は情報屋という所へ向かっている。なぜかと言うと、市役所の人にこの国での事件などを聞いたら
「その類いのことは情報屋にお尋ねください」
と言われたから。わからないことがあれば聞けと言ったのにもかかわらずにだ。言わずとも、黒鋼がこうなってるのはこのせい。なんというか、親切なのか親切じゃないのか…まぁ「そういうもん」と言うんだからそういうもんなんだろう。
と俺はほぼ無理矢理納得していた。
「ここですね」
そう言って小狼はひとつの門の前で止まった
「胡散臭そうだな」
「お前が言うなよ」
「黒鋼が言うなっ!」
黒鋼の言葉につっこむ俺とモコナ
つっこむだけつっこんだ俺はギャーギャー言ってくる黒鋼をモコナに任せ、小狼と一緒に門を開けて中へ入った。
「おい!ガキ!」と言われたのはまぁ気のせいだろう。俺、ガキじゃねぇし
「すみません、伺いたいことがあるんで…」
そう小狼が言い終わるや否や
ガガッ
「おっと」
棒を持った男二人が襲撃してきた
俺はそれを横によけ、小狼は上に飛んだため襲撃者はまず小狼を攻撃した。が、小狼は振り上げてきた棒を足と手で受け止め蹴りを入れる。棒を蹴られたため襲撃者はよろめいたが、自分達の間に着地した小狼に一人が素早く棒を降り下げる。その動作に移るのが早かったため、棒は着地体制の小狼に降りかか…
ガキィン
るわけないけどな。黒鋼が間に入って刀でその棒を受けとめる。それに一息つく間もなく、背を向けた黒鋼に棒を振り下ろそうとするが
ガキィン
それを俺が止めた
てか、絶対俺忘れられてただろ
「黒鋼、哉汰ナーイス♪」
そう誉めてくるモコナをおいといて、「おめぇらも鬼児か」と聞く黒鋼
鬼児って喋るのか?
という純粋な疑問は口に出さないでおこう。
「いいえ、情報屋よ」
そう答えたのは襲撃者ではなく、いつからいたのかはわからないが、少し離れた場所で立っている女が答えた。