歌の翼

□桜都国T
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「さぁて、次はどんな国かなー」

新たな国。そこは洋風の建物が建ち並び、沢山の人で賑わっており

『ようこそ!桜都国へ』

歓迎する課と書かれた腕章を腕につけたお姉さん達が声を揃えて私達を歓迎した

えっと…何事?

しかもお姉さん達は私達一人一人に抱きつく
私は咄嗟に哉汰の後ろに隠れたけど…

「!!…なんでお前だけ隠れてんだよ」

「条件反射というものです」

ほんと反射って不思議だよねー

あははと笑いながら私は答える

「だからってなんで俺なんだよ」

「一番近くにいたから?」

「…あっそ(それだけかよ…って何を期待してたんだ?俺)」

あれ?なんか…

「哉汰、機嫌悪い?」

「…そりゃあ誰かさんのせいで、俺だけ見知らぬ二人にべたべたされてるからな」

「アハハハ、誰だろー」

「……。」

視線って目に見えないけど、たまにすっごく痛く感じる時ってあるよねー

私は見据える哉汰から視線を反らした

「あらあら、皆さん変わったご衣装ですね。異世界からいらしたんですか?」

一人のお姉さんが私達の服装を見て言う

「異世界から人が来ることがあるんですか?この国では」

「もちろん、この国を楽しむために皆様、色んな国からいらっしゃいますわ」

そ、そうなんだ…そういう国もあるんだね
って、あれ?楽しむってこの国、他の国となんか違うの?おっきい遊園地とかでもあるのかな…ってわざわざ遊園地に来るために次元移動とかしないか
んーどんな国なんだろ

そんなこと考えながらふと目に入ったソファーへ腰を下ろす

ん?ソファー?

「ここ、どこ?」

座ったものの、自分がどこにいるのかわからなかった。まぁ考え事してたせいなんだけど…
ほんとにどこなんだろ?ここ

「…話聞いてなかったのか?」

ひとり頭を捻っていると、隣に座っていた哉汰が聞いてきた。反対に座っている黒鋼さんも呆れた顔で私を見ている
ちなみに、二人の存在に今気づいたんだけどね

「うん」

「うんってお前…ハァーここは市役所だ」

「市役所?なんで?」

「…お前、ほんとに何も聞いてなかったんだな」

「す、すみません」

哉汰はもう一度ため息をつき、説明してくれた

「なんか、この国では住民登録とかしなきゃならないらしい。だからさっきの人達に連れてこられたんだよ。」

「住民登録?旅人でも?」

「ああ。だから今小狼とファイが手続きしてる」

そう言いながらカウンターで、市役所の人と話してるファイさんと小狼を指差す

「ほんとだ。どんなことしてるのかな?」

「さぁーな」

興味無さそうに哉汰は答える
そんな哉汰とは反対に、なんとなく興味がある私

「ちょっと見てこようかなっ」

そう思って勢いよく立ち上がると

ズキンッ

「つっ!」

勢いがよすぎたのか、頭の傷に激痛が走った。
そういえば怪我してたな…と少し呑気なことを考えながら私の体は重力に従ってストンとソファーに逆戻りした
そう、ストンと

「っっ!!」

こんな軽い衝撃にも傷は痛むみたいで、本日二度目の頭痛

ぅー学習能力無さすぎるよ自分…
こんな自分を殴りたくなる…って小説とかなら言うんだろうけど、そんなことしたらさらに頭痛を倍増させるだけだからそんなことは言わない。いや、そういう言い回しだから実際には殴る人なんていないんだけどさ

そうひとりでわけのわからないことを心の中で言う

それにしても、なんで頭ばっかり狙らうかなー。頭痛いのっていろいろと大変なんだよ?…ってだから狙うのか

私は小さくため息をついた
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