歌の翼
□スピリットU
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「この窓から出ちゃったのかなぁ歌羽ちゃん達」
「伝説みたいに金の髪の姫とやらにさらわれたのか」
「子供達を連れて行った誰かを見たか、だな」
俺達はさくら達のいた部屋で昨夜何が起こったのか話していた
「小狼君は本当に三百年前の伝説のお姫様が子供をさらったと思ってるのー?」
「まだどちらとも言えません。けど、カイル先生に聞いたんですが、この国には『魔法』や『秘術』を使える人間は認知それていないようです」
いつの間に。さすが小狼、仕事がはえーな
「ここには魔力みたいなものを使える人間は公然とは存在していない?」
小狼が言うには歴史書にも金の髪の姫のこと以外不思議な現象は記されていないらしい。
「――もし、本当にエメロード姫が何らかの方法で蘇って起こしている事件なら、この窓から視認出来るくらいの距離に金の髪の姫が来て、モコナが何も感じないというのは…」
「確かに変だな」
モコナもこの世界に来てから何も感じないって言ってるし
「家の鍵も壊されてない。子供達が騒いだ様子もない。それに不思議な力じゃないなら、さくらちゃんが見たって言うお姫様は?」
「……」
普通なら見間違いかと思うが、さくらだしな。思い当たる節が1つだけある。多分、小狼も同じこと考えてるはず。でも、もしそうなら子供達はどうやって消えたんだ?
外に出ると、あの一番うるさい男がいた。
うわーぜってー面倒なことになる
「どこへ行く!」
「いなくなった子供達と妹達の手掛かりを探しにー」
おいおい、まさか一緒に行くとか言い出さないよな「一緒に行くぞ!!」……。
「お前達だけで行動させたら何しでかすかわからないからな!」
何もしねぇよ
そんなこと言う男に小狼が近づいていった
「な……なんだよ!」
「聞きたいことがあるんです。……ここ数年凶作だと町長に伺いました」
「ああ、自分達が食うので精一杯だ!」
そんな偉そうにいうことじゃねぇだろ…
「この町の土地ってほとんどグロサムさんのものなんですってー?」
「借りた土地代はどうしてんだよ」
「……待ってもらってる」
男が言うに、先生が掛け合ってくれたおかげでこの町にいられるらしい
「つまりグロサムさんはここ数年、あまり収入が良くねぇってことか」
でも、もし金欲しさに子供達を連れ去ったとして、なんで身代金の要求とかがないんだ?身代金目当てじゃなければ子供を連れ去る理由はなんなんだ?
あー頭いてー
作戦とか練るのは得意だが、推理とかはあんま向いてないな
そんなことを思っていると
「お前達、馬を持ってただろう。なんで乗らないんだ!?」
と男が聞いてきた
てか普通気づくだろ…
「馬だと見逃すだろ。足跡」
俺はため息混じりに言う
「だめだな。夜通し降った雪で足跡は消えてる」
やっぱそう簡単には見つからないか
「町の周辺は既に探されてますよね?」
「当たり前だ!!」
イラッ
いちいち声うるせーんだよ
「城の方はどうですか?」
男の声も気にせず小狼は質問を続ける
「城の出前までは探した!けど、あの川があるから向こうへは渡れない!!」
やっぱ、あの川を渡る方法を探すしかねぇのか
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