歌の翼

□大きな湖のある国
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「眠い…」

私はパチパチと燃えている薪をぼーっと見つめながらひとり呟いた。

それにしても怖い……さっきまでは皆いて賑やかだったから全く感じなかったけど、ひとりで霧が出てる薄暗い所にいたらやっぱり怖いな。あ、でもひとりっていうのは語弊があるか。横にさくらいるし…寝てるけどね。
やっぱり哉汰達に着いていけばよかったかな…でもさくらひとりにはしておけなかったし。というより女の子2人を置いて皆その辺散策しに普通行くかな?!何も起こらないけど、やっぱり怖いよ…

ほとんどあいていないさくらとの距離をさらに詰め、さくらの服をぎゅっと掴んだ。

「皆、早く帰ってこないかな…」

私の言葉に答える者いない。いや、誰もいなんだから答えられたら怖いんだけどね

…うん、やめよ。違うこと考えよ。

私はパチパチと燃えている薪に空いてるほうの手をかざす。すると、侑子さんに貰ったブレスレットの下に巻いてあった包帯がほどけているのが目にはいった。私はさくらから手を放し、包帯をとる。包帯の下には手首から肘の方に向かって10pほどの切り傷があった。

蓮姫でできた傷。そこまで深い傷じゃないから跡ものこらないだろうし、あまり痛くはないんだけど…でも、いつ怪我したんだろ?領主の風にやられた時は何もなってなかったし、あの記憶のない時に怪我したのかな。でもブレスレットが傷ついてないのにこんな怪我のしかたは普通しないよね。だったらなんで?

私はブレスレットの下に包帯を巻き直しながら自問自答する。でも、いくら考えても答えは出てこない。

…うん、もういいや

「寝よ」

あまり考えこむのは好きじゃない。それに考えたところでそれが答えかどうかわからなし、答えあわせしてくれる人もいない。だからと言って考えないわけにはいかないことが山ほどあったりするんだけど……でも今はやめとこう。さっきから睡魔が襲ってきて頭が働かない。
なんでこんなに眠いのかはわからないけど、眠いものはしかたない。だから寝よう

それでもちょっぴりまだ怖いから、再びさくらの服を握りながら私は眠りに落ちた
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