歌の翼

□蓮姫の町U
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哉汰side

「言えば良かったのにー春香ちゃんを連れていかないのはこれ以上迷惑かけないためだって。俺達みたいな余所者泊めて、一緒にいる所も見られてる。その上連れだって城に乗り込んだら領主を倒せなかった時に春香ちゃんがどんな目に遭うかわからないもんね。」

「…。」

「まぁどっかの誰かさんみたいに理由を言ってもついてこようとするやつもいるけどな」

「それ歌羽のことだー」

モコナがうふふと笑いながら言う。
てか、何で小狼が言ったら大人しく聞くんだよ。あいつ

「しかしあの小娘、なんであんなにもついてきたがったんだ」

「さぁな」

「わかりませんが、歌羽さんを連れていくわけにはいきません。」

「そうだねーさっきみたいに無茶されたら困るし」

小狼のやつ、さっきのこと結構気にしてるみたいだな。そういやあいつ、こっそりついてきたりとかしてねぇよな。

俺は後ろを伺ったが誰もついてきてる気配はない。それを確認して安堵のため息をついた。

「とにかく、その領主とやらをやっちまやぁいいんだろ」

黒鋼がにっと笑いながら言う

「で、さくらちゃんの羽根が本当に領主の手元にあれば…」

「「取り戻す(します)」」

そうこう話ているうちに領主がいる城に着いた。

「ここだよな」

「さっさと入ろうぜ」

そう言って扉を開けようとする黒鋼にファイは声をかけたが、それが言い終わらないうちに黒鋼は扉を開けてしまった。

「ああ!?」

扉を開けると、そこには天地が逆転した風景が広がっていた

「だからこの城は秘術で守られてるんだって。この門だけじゃないよ。他の入り口もこんな感じでしょー」

なるほど、これが城に入れない理由か

「そこで、次元の魔女さんに貰ったモノの出番だよー」

そう言われて小狼は懐からさっき貰ったモノを出した。それにしても

「泥団子みたいだな。」

姫宮は顔をひきつらせながら俺達に知らないほうがいいと言ってたが、いったい何なんだ、これ。

「どうやって使うんだよ。それ」

「投げてー!出来るだけ遠くへ投げて!あの城に届くくらい!!」

真ん中にある城を指しながらモコナは言った。そんなモコナに小狼は何かを聞いている。

何話してるんだ?

話が終わったのかモコナは小狼から離れ、小狼はそれを確認してから魔女に貰ったモノを上に投げ、それを思いっきり蹴飛ばした。それがモコナの指差した城に当たりそうになったとき、それが何かに当たり、城を囲っていたらしい見えない壁が割れ、さっきまで広がっていた可笑しな風景が普通の階段に変わった。

まじであれなんなんだ?どう見ても泥団子だったのに…まぁとりあえず第一関門はクリアだな。

俺達は城の中へと足を進めた。
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