歌の翼
□蓮姫の町T
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ドサッ
「ああー?次はどこだ?」
「わーなんだか見られてるみたいー」
「てへ、モコナ注目のまとー!」
私は注目されるの嫌なんだけどなー
ファイさんが言ったように到着早々、私達は物凄く注目を浴びていた。理由は落ちた所が人の沢山いる場所で、売り物のような物の上だからなんだけど……
うん、もうちょっとましな所に落としてほしかったな!
「なんだこいつら!どこから出て来やがった!!」
グイッ
そう言って一人の男がさくらの手を乱暴に掴んだ
ガッ
と思ったらその男は後ろにぶっ飛んだ。何故ならその男に小狼が飛び蹴りをおみまいしたから
「お」
「あ」
「わ」
ファイさんと黒鋼さんとモコナは感嘆をあげ、哉汰はさくらに駆け寄って守るように立ち
パチパチパチパチ
私は心の中で小狼を褒め称えながら拍手をおくっていた
「おまえ!誰を足蹴にしたと思ってるんだ!?」
「「誰(だ)?」」
「なっ!」
蹴り飛ばされた男は直ぐに立ち上がって(よろけていたけど)小狼に怒鳴ったのに対し、私と哉汰がハモりながら聞き返した。
だって本当に知らないんだもん。
そのことにさらに機嫌を損ねたらしく、今にでも攻撃仕掛けて来そうな雰囲気になったその時
「やめろ!!誰かれ構わずちょっかい出すな!このバカ息子!!」
という声が聞こえた。その声がする方を見てみると、屋根の上に女の子が立っていた
なんで屋根の上?
ってそこはつっこんじゃ駄目か
「春香!!誰がバカ息子だ!!」
「おまえ以外にバカがいるか?」
そう言いながら女の子はわざとらしくきょろきょろと回りを見た。
うわーあの子、めっちゃバカにしてる(苦笑)
勿論その事に男は怒るわけで…
「このー!」
「失礼な!!高麗国の蓮姫を治める領主様のご子息だぞ!」
だから偉そうなんだね。
「領主といっても一年前まではただの流れの秘術師だったろう」
「親父をばかにするかー!領主に逆らったらどうなるかわかってるんだろうな!春香!!」
男の言葉に女の子は悔しそうな顔をした。その顔に何故か胸が締め付けられる。
なんでなんだろ…?
「この無礼のむくいを受けるぞ!覚悟しろよ!」
そう言い残して男とその家来らしき人達はその場を立ち去った