歌の翼
□始まり
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夕刻の鐘がなる少し前、目的地である民家に到着した。ここは俺とさくらの幼馴染みが住んでいるところだ。予想通りそこにはさくらがいるらしく、中から声が聞こえてきた。
「あのね…わたし…」
・・・うわータイミング悪っ
というよりまだ言ってなかったのかよ、さくらのやつ。
折角人が気をつかってゆっくり来たのに
こりゃぁ今回は無理そうだな。だってもうすぐ鐘が…
リーン ゴーン
鳴ったな。告白は次の機会…か。
「絶対言うから 待っててね。」
やっと出てきたか。
「何を待つんだ?」
「「!?」」
「よっ!!久しぶりだな小狼。」
「哉汰か…久しぶり。いたなら入ればよかったのに。」
「そんなことしたらどっかのお転婆姫に殴られるからな。外で待ってたんだ。」
俺はそう言いながらさくらの方を見、ニヤリと笑った。
「どういうことだ?」
「しゃ、小狼は気にしなくていいの!!ほらっ、行くよ哉汰!!」
さくらは俺をキッと睨らみながら言い、城の方へ走って行った。
俺も小狼と話したかったんだけど…仕方ないか
「へいへい。んじゃ、またな小狼」
「あぁ」
小狼に一声かけ、俺はさくらを追いかけた。