歌の翼

□ひとつめの物語
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「え?え?なんでこんないい天気なのに雨が…」

「狐の嫁入りだね」

「きつね?」

「陽が照っているのに降る雨のことだよ。確か、こういう日は『鏡聴』が出来るんでしたよね?」

「ええそうよ。」

「なんすか?それ」

「マル、モロ」

「「はーい」」

そう言ってマルとモロは侑子さんにコンパクトを渡した。

さすが侑子さん。準備がよろしいことで(笑)

「鏡はねなんでもいいんだよ。手鏡でも、コンパクトでも。」

「それをね懐に入れて 目を閉じて初めに聞いた言葉を『兆し』にするの。」

「辻占いっていう占いの別バージョンみたいなものなんだって。」

「へー」

「狐の嫁入りの時にやる鏡聴は陽の下の雨のチカラで精度が上がるの。」

「より深くて確かな兆しが得られるんだよ」

「やってみる?」

侑子さんがコンパクトを四月一日の前に差し出すと、四月一日はすっとそれを受け取った。
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