歌の翼
□願いが叶う店
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「あの、でもその対価って何なんですか?。それに、その飛王って人はなんで私を殺そうとしたんですか?」
あの時は切羽詰まってて、何も考えずに払うって言っちゃったけど、何なんだろう?
払うってことはお金、なのかな?
もしそうなら私に払える金額だといいんだけど…
「与えられたモノには須くそれに見合うだけの代償、代価が必要なのよ。
与えすぎてもいけない 奪いすぎてもいけない
過不足なく 対等に 均等に
でないとキズがつく」
そう言って女は私の頬を触り
「現世のカラダに 星世の運に 天世の魂に
だからここでは願いを叶える代わりにタイセツタイセツなモノをもらっているの。それが対価よ。」
そう言って私の頬から手を離した。
「貴方は私に願いを叶えてもらった。だから対価に貴方は私にタイセツなモノを渡さなければならない。」
「私の、タイセツなモノを?」
「えぇ。貴方にとってタイセツなモノ、それは時間よ。」
「時間…ですか?」
「そう、大切な人と過ごす時間。それが貴方にとってはとても大事なモノ。だからその時間をもらうわ。」
それって…
「もう…私にとって大切な人達とは会えないってこと、ですか?」
私は震える手を握りしめて、恐る恐る聞いた。
「いいえ、貴方にはこれから旅に出てもらう。その旅が終われば元いた世界に帰れるわ。」
それを聞いてホッとした。
良かった。また皆に会えるんだ。