歌の翼
□願いが叶う店
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目を開けると、そこには見慣れない洋館と着物を着た黒髪の女、そして2人の少女が立っていた。
「ここは…」
「日本よ。貴方がいたところとは違うね。」
私の呟きに女が答えた。
「あの、言ってることがよくわからないんですけど…それに私、ここに来た覚えがないんですが。」
「ここは貴方のいたところとは違う、もうひとつの日本。つまり、異世界ってこと。」
なるほど。異世界か…って
「え?…えぇぇぇぇぇ!!」
ズキンッ
「つっ!?」
異世界という言葉にびっくりして叫ぶと、いきなり頭に激痛が走った。
この痛み、前にもあったような…
「あんまり大声ださない方がいいわよ。飛王の魔法がまだ少し残っているんだから。」
そう女が答えた。
「フェイ…ワン?」
私は聞き慣れない名前に聞き返した。
「さっき貴方を殺そうとしたやつのことよ。」
さっき、殺そうとした?
《フッお前は今から私の手で殺されるんだ。》
!!そうだ、この頭痛はあの声のやつに…
てことは、あの声の主が飛…王?って人のことか
じゃぁ、あの女の人の声は…
「思い出したようね。」
「はい…もしかして、あの時の女の人の声って」
「私よ。あの時、私は貴方の願いを叶えた。『大切な人を助けてほしい』という願いを。だから貴方は私に対価を支払わなくてはならない。貴方が今、ここにいるのはそのためよ。」
やっぱり。
だから何となく聞き覚えがあってんだな、この人の声に。