緋色の少女
□軍人とシスター
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軍人とシスターが同じ空間にいるなんて思った以上に異様だな
そんなことを思いながら目の前に立つアルを眺める
「……何?」
居心地が悪かったのか、アルは顔をしかめながらシスター服を引っ張る。そして「何か変?」と1日着ていて今更なことを聞いた
「気に入っているのか?」
「気に入るって言うか楽なのよ、これ。締め付けないし」
ヒラヒラと服の裾をなびかせながらチラリとアルは私を見た。まるで何かを待つように
それを言ってやらないこともないが、普通に言うだけでは面白くない
視線だけを送ってくるアルを足先までじっくり眺めていると
"アルたんが着るとシスター服がエロく見えない?"
先程ヒュウガが楽しそうに言い残していった言葉を思い出す。黒い布地を押し上げるように主張する胸に体のラインがしっかりわかるそれは、ヒュウガの意見も最もだ。事実、外を歩かせれば見られる場所などその辺りがほとんど
本当は直ぐにでも着替えさせたかったのだが、勝手に私のものを人目にさらした仕置きをしなければならない
それに、聖職者と言われれば汚したくなる
「そう言えば、お前がこの様な服を着ているのは初めて見たな」
「え?…ああ、そう言えばそうね。軍服着てたら何かと便利だからそればっか来ちゃうのよね」
「確かに久しぶりかも…」と呟いたアルの手を引けばバランスを崩し私の腕の中へと倒れ込む
来たばかりの時は私の行動一つ一つに敏感に反応していたが、今ではこうだ。喜ばしい事だがそれは私だけでいいのだ。他のモノには必要ない
「なにす、んっっ」
文句を言う前にふさいでやれば不服そうに瞳が俺を睨んだ。どんなに滅茶苦茶にしてもこの虚勢は消えないから面白い
「ならば夜に着ると良い。聖職者を汚すこの感覚はもえる」
「はぁ?!何バカなこといっ…ひゃっ」
「それに、脱がさずとも済む」
「急の来客が来ても心配無い」と言えば「冗談じゃない!」とアルは顔を真っ赤にして反論した
ここがまだ執務室だということを思い出したのかアルは懸命に声を圧し殺す。それが私を煽っているということに何故気づかないのか
誰かが来るはずなど無いが、そんなアルの反応がいつもと少し変わっていて面白いためそのままにしておいた
「…一生こんな服着ないんだからっ」
「それは着る度に今日の事を思い出すからか?……例えば、こんな風にいじられたこととか」
「んぁっ、っ……この、へんたっ、ぁ!」
「その変態の指に感じてるのは誰だ。それにシスター服をこんなにベタベタにしときながらよく人にそんな事が言えるな」
そんなことを耳で囁きながら、いちいち可愛らしく反応するアルを味わったのだった
「似合っている。私の前だけなら着ることを許可しよう」
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