歌の翼
□桜都国T
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「あのねぇ、仕事決めてきたよー」
「ああ?」
「仕事?」
「小狼君と哉汰君と黒わんは鬼児を倒して、んでお金持ってきてー」
と、わけのわからないことを言うファイ
「小僧、説明しろ。さっぱりだ」
「小狼、頼む」
俺達は小狼に説明を求めた
「えーん、哉汰君と黒わんころがほったらかしたー」
「ファイ、泣いちゃだめー」
「「嘘泣きはやめろ!」」
嘘泣きを始めたファイに黒鋼と一緒につっこむ
今黒鋼の苦労がわかった気がする…黒鋼、いつも大変だな。まぁこれからも助けるつもりはないが
「なるほど、鬼児狩りか。退屈しのぎにはなりそうだな」
小狼の説明を聞き、そう言う黒鋼
「でも、鬼児狩りは二人なんだろ?」
「そうなんだけどー小狼君が哉汰君もやりたいって言うだろうからって市役所の人に頼んだんだーそうしたら『補佐役』としてならいいよーって」
「そういうことか。ありがとな、小狼」
「ああ」
「けど、お前はいいのか」
黒鋼は小狼に聞く
どういうことだ?
「鬼児ってのがどのくらい強いのか分からねぇが、それを倒す仕事があって、金が支払われてるってことは素人じゃ手が出せねぇってことだろ」
そういうことだろうが、黒鋼は何が言いたいんだ?
グイ
「お前、右目が見えてねぇな」
黒鋼は小狼の右側の髪を掻き上げながら言い、ファイは黒鋼の言葉に驚いていた。
へー戦いかたを見てその事に気づくとはさすがだな。
「もっと強い鬼児相手だと怪我するだけじゃすまねぇぞ」
「…出来るだけ迷惑をかけないようにします。お願いします」
「おっけーだよね。黒様ー」
「…ふん」
「ありがとうございます」
小狼は黒鋼にお礼をいい、さくらを見た。必ず羽根を取り戻すといった決意の顔で
ほんとに大切なんだな、さくらが。勿論さくらも同じ気持ち。それは記憶が無くなっても変わらない。
そして俺にとっても二人は特別な存在。だから、守る
少しずつ変わる気持ち
でも、それに俺自身はまだ気づいていない――