歌の翼
□蓮姫の町U
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「中に入ったはいいが、いつまで続いてんだよ。この回廊はよ。ずっと歩きっぱなしだぞ」
「真面目に歩いてるんだけど、どこにも着かないねぇ。扉もないし」
黒鋼とファイとモコナが話してる横で、俺と小狼は回廊に落ちている1つの黒い石を見ていた。
「小狼…」
「あぁ。元の場所に戻っています」
小狼は俺の思っていることに同意し、それを3人に伝えた。
「ん?」
「確かに似たような場所だが引き返しちゃいねぇぞ」
「ずっと一本道ではあったよね」
「この回廊の入り口近くに落としておいたんだ」
俺はさっきまで見ていた石を拾い、二人に見せながら答えた
「『ひゅー』哉汰君と小狼君すごいー」
まぁ小狼の案だけどな。
「ったく、あれだけ歩いてムダ足かよ」
「みてぇだな」
「んーこれ以上歩くのヤだねぇ」
そう言いながらファイは壁を触って「…ここかなぁ」と呟いた。
「何かありましたか?」
「この手の魔法はね、一番魔力が強い場所に術の元があるもんなのー」
「じゃぁこの向こうに領主がいるのか?」
「わかんないけど、すごく強い力をこの向こうから感じる?かもー」
ファイはにこにこ笑いながら壁を壊すように黒鋼に言った
「…魔力は使わねぇんじゃなかったのかよ」
「今のは魔力じゃなくてカンみたいなもんだから」
カン…な。本当にそうなのか?俺は魔力がないからよくわからないが、何となく違うような気がする。
ドゴ
疑いつつも黒鋼はファイの言う通りな壁を殴って打ち破った