歌の翼
□ひとつめの物語
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パタン
部屋には朝には無かったはずの服が吊るされていた。
「ほんとっ準備がいいな、侑子さんは(苦笑)」
私は誰もいない部屋でひとり呟き、置いてあった服に着替えはじめた。
置いてあった服は短パンにシンプルなタンクトップ、少し大きめのパーカー、黒のニーハイにショートブーツという凄く動きやすそうな物だった。
着替え終わり、髪を結っていると
『歌羽』
と私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「!?ゆ、侑子さん?」
『えぇ、そうよ。』
「もう、びっくりさせないでくださいよ…」
『クスクス本当に歌羽は怖がりね(笑)』
「…それで、なんのご用ですか?」
どうせ怖がりですよ!!
『そんなに怒らないの(笑)もう服は着替えたわね?』
「はい。今ちょうど髪を結ってるところです。」
『なら、それが終わったら私のところに来てちょうだい。渡したい物があるの』
「はい、わかりました…?」
そう答えると侑子さんの声は聞こえなくなった。
なんだろう?渡したい物って…
私は髪を結いながらひとり疑問符を浮かべていた。