短編集01

□ずっと一緒に
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どれくらいそうしてたんだろ…?



もう私の思考は考える事を放棄し始めていた



するとそれまでずっとしていたゲームをパタンと閉じて、私の背中にコツンと頭を当てて来た



『…?

ホント、どうしたんですか?

今日の玲奈さん何か変ですよ?』



お腹に回された玲奈さんの手に、自分のを重ねながら優しくそう聞くと



玲「…何で今日は来てくれなかったの?

やっぱり、私より茉夏やちゅり達の方が良いの…?」



いつもなら玲奈さんが楽屋に入った時一番に傍に行ってずっと隣にいるのに、今日は話しが弾んで玲奈さんの所に行かなかったからそんな事を思ったんだろうけど…



『どうしてそうなるんですか…』



玲「…だってチームも違うし、同じ仕事もほとんどないし、休みも全然合わないし…

今日久し振りに会えるって思ってたのに、楽屋来たら名前ちゃん茉夏達と楽しそうにしてて全然こっち来ないし…

会えなくて寂しいって思うのも、久し振りに会えるって嬉しくなるのも私だけなのかなって思って…

なかなか会えない私より、いつも一緒にいる茉夏達の方が良いのかなって…」



『そんな事ないですよ…

玲奈さんに会えないと凄く寂しいです

それに今日だって、玲奈さんに会えるって思ったら予定より1時間も早く楽屋来ちゃったくらいですよ』



それでもまだ不安なようで、ギュッとお腹に回された手に力が入った



仕方がないので一度玲奈さんの手をほどいて、今度は向かい合わせに座り直す



こうしないと玲奈さんと目が合わないし、何よりも大切な事は相手の顔を見て言わないとねっ



『確かに茉夏やちゅりちゃんは大好きだし、本当に大切な仲間だと思ってます

けど、私が愛してるのはこの世で一人だけ…

玲奈さんだけです』



真っ直ぐ玲奈さんの目を見て、私の気持ちを伝える



すると玲奈さんは顔を真っ赤にして俯いてしまった



玲「…ありがと

私も好きなのは名前ちゃんだけだよ」



俯いて小さくそう言ってくれる玲奈さんに、愛しさがこみ上げてきてギュッと抱き締める



一瞬驚いた顔をしたが、すぐにフワッと微笑んで抱き締め返してくれた



『…玲奈さん、大好きです』



そう言ってゆっくり距離を縮めて行くと、玲奈さんも目を閉じて受け入れてくれる



二人の距離がゼロになろうとした時、視線を感じて回りを見てみると楽屋にいたほぼ全員がこちらをにやにやと見ていた



陽「お熱いねー

こっちはお構い無くー

さ、続きどうぞ」



と陽さんが言うとみんな口々に茶化してくる



『…しないですよっ//』



みんなに見られてたのが恥ずかしくて、玲奈さんの膝から下りてそう言う



すると今まで真っ赤になって俯いてた玲奈さんが、私の服の裾をクイクイと引っ張って



玲「…してもいいよ?」



って回りに聞こえないくらいの小さい声で言って、目を閉じて待ってる玲奈さんに



『…嫌です』



それだけ言って玲奈さんの腕を掴んで楽屋を出て、そのまま人気の無い所まで連れて来て階段に並んで座る



玲「せっかく名前ちゃんは私のだって、みんなに見せ付けるチャンスだったのに……っん//」



そう悪戯っぽく呟く玲奈さんの唇を私ので深く塞いで、逃げられないように頭の後ろに手を回す



玲「…っん……ふ…

名前ちゃ…っ…」



段々苦しくなって来たのか、ドンドンと私の胸を叩いて来た



仕方なく唇を解放してあげると、トロンとした表情で見つめてくる



『玲奈さんのこんな顔、誰にも見せたくないです…』



そう言って玲奈さんのほっぺにそっと掌を当てると、プクッと頬を膨らまして



玲「玲奈…」



いきなり自分の名前を言う玲奈さんに、私の頭には?がいっぱい飛ぶ



玲「二人の時は玲奈って呼んでって言ったのに…

それに敬語もヤダって言った…」



『ふふっ

そうでしたね…

じゃ、改めて…

……玲奈、好きだよ』



そう言って、今度はゆっくりと優しく唇を重ねた



チュッとリップ音を立てて唇を離す



『…玲奈のその顔を見れるのは私だけでいい』



そう言ってギュッと抱き締めて髪を撫でると、玲奈さんがクスクスと腕の中で笑い出した



玲「名前ちゃんって意外に独占欲強いよねー」



『…嫌だった?』



玲「嫌じゃないよ

愛されてるなって思えるから」



『そりゃー愛してますもんっ

って言うかそれなら、玲奈だって独占欲強いじゃん』



私がそう言うと"っへ"と首を傾げる玲奈



『だってさっき楽屋で私の事呼んだの、あれヤキモチでしょ?』



玲「…っな、違うよ

ただ…ちょっと…その…」



と段々声が小さくなり、顔が真っ赤になっていく



『ふふっ

玲奈分かりやすすぎっ』



玲「うー…」



『妬いてる玲奈も、甘えたな玲奈も、真剣な玲奈も全部大好きっ』



そう言ってギューっと抱き締めるとフワッと微笑んで



玲「私もどんな名前ちゃんも大好きだよ」



って言って抱き締め返してくれて、幸せな気持ちでいっぱいになった



『玲奈といれる事が、私の一番の幸せなの

だから……』



そこまで言って少し身体を離し、真っ直ぐ玲奈さんの目を見る



不思議そうに見つめる玲奈さんを他所にポケットから小さな鍵を取り出して、玲奈さんの手に乗せる



『私と、ずっと一緒にいてくれませんか?』



しばらく手の上にある鍵を見つめていたが、やっと私の言いたい事を理解したらしく



玲「…これ名前ちゃんの家の鍵?

って事は……」



『一緒に暮らしませんか?』



そう言うと"いいの?"と遠慮がちに聞いてきたので



『ダメなら鍵なんか渡さないよー

今は全然一緒にいれないけど、これなら少しでも一緒の時間作れるでしょ?

…でも玲奈一人が好きだって言ってたし、嫌なら別にいいんだ…』



玲「そんな事ないよ

名前ちゃんとなら、ずっと一緒に居たいって思うもんっ

……名前ちゃん、これからよろしくお願いします」



そう言って微笑んでくれた玲奈さん



『こちらこそ、よろしくお願いします』



そう返すと、二人して吹き出した



しばらく笑って、真剣な顔で玲奈さんの耳元で



『玲奈、愛してる』



そう囁くと真っ赤になって照れながら"私もだよ"って言ってフワッと微笑んでくれた



それを見て、胸の辺りが暖かくなった



いつまでもこの笑顔を、隣で見れるといいな



私は神様なんて信じてないけど、もし本当に存外するなら



玲奈さんとずっと一緒にいれますように
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