黒子のバスケ

□黄瀬ワンコ!
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帝光中時代


「黄瀬くん」
「あ……黒子っち…?」
「どうしたんですか、そんな格好で」
「これは……これは………ううう〜」
廊下を歩いていたらなぜか、フリフリのスカートをはいた黄瀬と出くわしてしまった黒子。
「……これは、罰ゲームっス…!」
ぐすぐすと泣きながら事情を説明し始めた黄瀬は、正直とてもかわいかった。終始、頭で犬耳がパタパタ揺れていた気がする。
「ちょっと今日、班でやる宿題忘れちゃったんスよ。ほら、あの宇宙に関してのレポートっス。そしたら、待ってましたといわんばかりに班員の女子がこの服を取り出したんスよぉぉ…」
ぐす、ぐす。
「見るっスよこのデザイン!髪に合わせた黄色のシャツに白のフリフリのブラウス!そしてこの広がったスカート!のわりに短いんス!!見えちゃうっスよ〜〜〜〜!!!!」
とうとうぴーぴーと泣き始めた黄瀬を、黒子はよしよしとなだめる。
「それは災難ですね。でも黄瀬くん、この黄色いメイド服はとても黄瀬くんに似合っています。かわいいです」
「え、マジで!?かわいい!?」
「黄瀬くんが子犬のようなので、それも相まって」
「やったあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!黒子っちにかわいいって言ってもらえた―――!もう十分っス、この服着た意味があったっス!!」
ワンワン!とバンザイしてその場でくるくる回りだす黄瀬。
「ところで、なんで廊下で一人でその格好だったんですか」
「…逃げ出して来たんスよ」
目を光らせて写メを撮りだした女性陣の姿を思いだし、黄瀬はぶるっと身震いした。
「そんなに辛い思いをしたんですね。よしよし、いいこいいこです」
黒子が黄瀬の頭をなでまわす。犬耳がついた黄瀬は、それこそ黒子よりちっこい。
「ところで黄瀬くん」
「なんスか?黒子っち〜」
「……僕、今ちょうどジャーキー持ってるんです。というわけで、どうぞ」
ジャーキーを1本、黄瀬の前に差し出す。

はむはむはむはむ
む む む む
こくん

ほっぺたを動かしまくって、ようやく黄瀬はその1本を飲み込んだ。
「?ありがとっスー」
「ところで黄瀬くん」
「なんスかー?」
「えい」
ピラ、と黒子は黄瀬のスカートをめくった。
「じょ…………女性用下着」
「いやああああああああああああああこんな俺を見ないでほしいっス〜〜〜〜〜〜!!!!」
バッとスカートをおさえて、黄瀬はまた駆けていってしまった。
「……残念です。このまま黄瀬くんをいただこうと思っていたのに」
しゅん、とうつむいた黒子の手にはまだ、ジャーキーが残っていた。

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