赤い涙**
□IV
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「レイラ様。今日もまたパーティの招待状が届いておりますよ」
ある日の昼下がり
シャルロットが大量の手紙を抱えながらレイラのいる執務室へと入っていった。
「また…?もうシーズンも終わるというのに暇人共が」
シーズンの終わりが迫っているのにも関わらず、未だ彼女の元には絶えず夜会の誘いは後を絶たなかった
仕事に追われ、しかめっ面で書類を片付けているレイラは舌打ちをしながらそう吐き捨てた
「グレイス伯爵からの食事のお誘い「断って」
ギーラ子爵主催の「断るわ」
ベルリット男爵g「無理」
エリザベス様が新しいドレスを新調したので屋敷に来て欲しいと「絶対に断って」…」
「レイラ様…」
呆れたような目でレイラを見つめるシャルロット
「生憎私は暇人共の相手をしている暇はないの。この書類に目を通した後は支店の見回りの行って…はあ、目が回る」
机に高く積み上がった書類を見て、レイラは深くため息をつく
「忙しいのも分かりますけど…ある程度は他の貴族達との関わりを保っていかなければ先代からの付き合いなども無くなってしまいますよ」
「分かってる…でも、どうも気が乗らなくて」
ペラペラと書類をめくりながらレイラはシャルロットにそう言う
「まあ、送られてきた手紙は一応目を通しておくからそこに置いといて」
「はい」
シャルロットが机に手紙を置く
ドサッという音ですごい量の手紙だということが分かる
「………」
「どうかしましたか?」
レイラは一通の手紙を見ながら、神妙な顔をしている。
「…"これ"よ」
ピッとシャルロットに差し出したのは、王室の紋章が記されている赤糊が貼られた手紙だった。
「陛下からの命よ。急いで馬車の準備を」
「御意」