赤い涙**

□V
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「それにしても陛下はよく飽きずに舞踏会なんてやるわね…」

「そうですね。でも今回の舞踏会はシーズンの始まりとなるパーティなので大規模なようですよ。今回は前みたいに体を触られたくらいでエロ男爵…いえ、マーティン男爵の顔面に冷水を浴びせるようなことがないように」

「あのクソ男爵の顔を思い出すだけで蕁麻疹が出そうだわ。いやらしい目つきも気色悪かったし…あのジジィ、何かあったら迷わず始末してやる」

「人の話聞いていましたか?くれぐれも前のようなことを起こさないように」


黒いオーラを醸し出しながら拳を握るレイラ
全く話が耳に入っていない様子の主人を見て、シャルロットはガクッと肩を落とす


(まったくこの人といったら…)

ブツブツと呟きながらドレスを選ぶ主人の背中を見つめながら、シャルロットは困ったように視線を送った



(本当に困った"御主人様"ですね)






「…そういえば、明日のパーティ、シエルも来るって言ってたわね」

ふと思い出し、レイラはポツリと呟いた


「シエル様も名門貴族の当主でありますから、当然といえば当然ですね」

「…そう」


シャルロットにコルセットの紐を締められながら、どこかうわな空な様子でレイラは気のない返事をした


「何か気になることでもおありですか?…シエル様のことで」

シャルロットはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながらレイラを見つめる

「んな…っ!そんなはずないでしょう!誰があんな奴のこと!」

レイラは心なしか頬を赤らめながら、シャルロットを睨んだ


「まあまあそんなムキにならずに。お二人は大変仲がよろしいですからね。そう恥ずかしがらずとも」

「…うるさいシャル」

微笑むシャルロットを、レイラは恨めしそうに睨み続けた

そうそう、と突然シャルロットが手をパンっと叩く


「どうやら貴族たちの間では、お二人が恋仲ではないか、と噂になっているようですよ」

「っはああああ?」


思いがけないことを言われ、レイラは勢いよく振り返り、シャルロットを見た


「おや、ご存じなかったのですか?」

「当たり前だ!そんなの初耳だし一体誰がそんな根の葉のない馬鹿げた噂を…!」

「…さあ…そこまでは存じてませんね…」






「見つけ次第、殺す」

不気味な笑みを浮かべながら、レイラはそう心に決めた
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