赤い涙**
□V
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ある日の夜の事であった。
「レイラ様!いい加減にしてください!さっさとドレスの採寸を…!!」
「嫌ったら嫌よ!!絶対に着てやるもんですかそんなドレス!!」
名門貴族 クレイトン公爵家は相変わらず騒がしかった。
「いい加減諦めてください!もう子供じゃないんですから!明日の舞踏会が嫌だからって騒がないでください!!!!」
「面倒なんだもの!!あんな貴族の馴れ合いの場なんて行きたくないわ!!もう変な男達に言い寄られるのもたくさん!陛下には体調不良と言っておけばいいのよ!!絶対に行ってやるもんですか!!」
「駄々をこねるのもその辺にしなさい!レイラ様!毎回パーティがある度にこうやって…貴方は今ではこの英国全体を支える公爵家の当主でもあり陛下の側近、貴族たちの注目の的です。そんな貴方がこうであっては困ります」
シャルロットが青筋をたてながらそう言うと、レイラはうぐ、とたじろいだ
「…………はあ」
やっと折れた主人に、シャルロットは疲れ気味にため息をついた。
「今回は陛下が主催したパーティだから、よ。次は絶対に行かないから」
「はいはい分かりましたよ。さっさとドレスの採寸、終わらせますよ」
シャルロットにそう言われると、レイラは仕方なくドレスを選ぶ。
「パーティに着ていくドレス一つにこうも時間をかけるなんて、本当に面倒ね。」
「レイラ様は年頃のレディとは違ってこういうのにご興味がありませんからね。」
「趣味で華やかに着飾るなんて、暇人のする事よ。いつも派手なドレスや装飾品をしつこく送ってくる奴の気が知れないわ」
「…エリザベス様ですか…」
世の年頃の少女のようにオシャレに着飾ることや色恋に微塵の興味を持たないレイラは、昔からエルザベスに
「少しはレディらしくオシャレしないとダメなのよレイラ‼︎私が似合いそうな可愛いものいっぱい送るわね‼︎ちゃんと着てね‼︎大丈夫‼︎きっと似合うわあ‼︎」
と、屋敷にたくさんのドレスなどを送られていたのであった。
…もちろん、着ることはないのだが
「突然現れたと思えば勝手に屋敷をピンクだらけにするし使用人達着せ替え人形にするわ無理やり着替えさせられるわ…」
「エリザベス様は貴方を気遣っているんですよ」
「もっと違う気遣いをできないのかしら…」
うんざりと口を曲げるレイラを、シャルロットはクスリと笑った。