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□君と夏祭り
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「征君、見て!あっちにたこ焼き売ってる!」

「なまえ…走ったら転んでしまうよ」








今日は夏祭り

私、みょうじなまえが通う帝光中学の近くで催されているこの祭りは、花火大会も兼ねている為人で大変賑わっていた

夏の大イベントであるお祭りに一緒に来ているのは、恋人である征君……もとい赤司征十郎である


「ごめんね征君。練習終わりで疲れてるのにお祭り付き合わせちゃって…」

「いや、いいんだ。僕も久しぶりになまえと二人で出掛けたいと思っていた所だ」

「ふふっ…」

バスケ部の主将を務めている征君は、いつも忙しい
今日は練習終わりのところだけれど、こうして久しぶりのデートなのです



「征君とお祭りって初めてだから、なんか嬉しいなあ」

「…確かに二人で祭りに来るのは初めてだね。去年は黒子や桃井達と一緒だったからね」



先程部活後に「これからなまえと祭りに行く」とマネージャーの桃井に言ったところ
いいなあああああああああ!と目を輝かせながら言われた事を思い出し、赤司は口元に笑みを浮かべた



「去年も楽しかったね…」

「あぁ、でも僕は君と二人きりの方が好きだよ」


赤司は恥ずかしげもなくサラッと言うと、なまえは照れ臭そうに顔を伏せた


「…っ、あ、あっちに飴売ってる…買ってくるね」


赤みを帯びる頬を隠すように俯きながら、なまえはすぐ目の前にあった屋台へと急ぎめに足を進めた


「……っあ…」


途端、慣れない下駄を履いてもつれた足の力がグッと抜けてしまう


(こ、転ぶ…)


今の状況を頭で理解した時には、もう体勢は崩れていて
スローモーションのようにゆっくりと迫ってくる地面に、なまえは目を閉じた










「っ…………あ、れ?」


来るはずの痛みがなく、なまえは恐る恐る目を開けた



「…さっき走ったら転ぶ、と言ったばかりだろう。怪我でもしたらどうする」


驚いて自分の体を見下ろせば、いつの間にか赤司の手がしっかりと自分の腰を支えてくれていた

「あ、ご、ごめんね征君」

「歩きにくいだろう。…手、繋ごうか」


赤司はそう言うと、なまえの手に自分のそれをするっと絡ませる




「う、うん…っ、ありがとう征君……」

「…っふ…照れてるのかい?」

「ま、まっさかあ!て、手繋いだくらいで照れる訳ないでしょう!!」




どうしてこんな時に征君は意地悪なことを言うのだろう
突然手を握られて、驚かない訳ない

内心を見透かすように微笑んでいるようで、なんだか悔しい




「赤くなるなまえは可愛いね。見ていて飽きないな」

「〜っ、もう!行こう!!」

「あぁ…はしゃいではぐれないようにね。今日は人が多いから」

「子供じゃないんだから、はぐれたりなんてしないよ」

「そうかい?ならいいんだが」

「…もう」


しっかりと繋がれた右手にほんのりと温かさを感じながら、なまえは赤司と人ごみの中に溶け込んで行った
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