枯れるまで愛して**


□二年生の時間
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あれから早くも数ヶ月の時が経ち
西森愛は二年生へと進級した



「わあー!やったね愛‼︎今年も同じクラス‼︎」

掲示板に張り出されたクラス表を見て、矢田桃花は横にいた愛を抱きしめた



「うん、よかったあ。新しいクラス知ってる人少なくてどうしようかと思ってたの」

安心して微笑みを浮かべる愛は、去年よりもどこか大人っぽい



「なんか愛、すっごく綺麗になったよね!」

桃花が愛にそう言うと、彼女は首を傾げながら「特に変わってないのに…」と不思議がった





「よかったじゃーん、カルマ君とも一緒だよ?」

にやあ、といやらしく笑う桃花

「…ほんとだ。」

うげ、と顔を渋らせながら見るその先には、赤羽業と書き記されている





「二人付き合ってるんでしょう?もっと喜びなよー」

「いや、付き合ってるっていうかなんていうか…別にそうじゃないんだけど…なんとも言えない」



愛はうーん、と神妙な顔つきで顎に手を置く

「不本意だけど、付き合ってはいる?のかな」


愛がそう言うと、桃花はなにそれーと笑うのだった



カルマと愛は、今なんとも言えない関係らしい

もちろんカルマは熱いお付き合いをしていると思っているが、愛は未だに現状をどう説明していいか分からないのだ






「あ…渚君と離れちゃった」

隣のクラスの表に潮田渚という名前を見つけ、愛は少し落ち込んだ





「クラス違っても、会えるんだからそう落ち込まないのー。ほら、教室入ろう!」

桃花にポンッと背中を押され、愛は新しい教室へと入っていった

ガラガラッと扉を開ける

愛が教室に入るのと同時に、中にいたクラスメート達が一斉に目を向けた






「あ、西森さんだ」
「よっしゃ、同じクラスじゃん!」
「やっぱり可愛いねー」

ヒソヒソと話すクラスメート達からの視線に居心地の悪さを感じつつ、愛は席に座る



(……うう、桃花が遠い)

離れた席に座る桃花を横目に見ながら、愛はため息を漏らす



「西森さんっしょー、私席隣なんだー。ヨロシクね」

ガタッと隣の席にカバンを置いた、一人の女性徒が愛に声をかけた



「うん、よろしく」

「私、中村莉桜、莉桜って呼んでよ」

「じゃあ私も愛って呼んで」

莉桜はニコッと笑いながら長い金髪を揺らし、席に座る


「愛ってさ、赤羽と付き合ってる噂、あれ本当なの?」

ニヤニヤしながら小声で聞いてくる莉桜

(ど、どこからそれを…)

愛はギクッとしたが、隠す事でもあるまいと思い、渋々頷いた



「まじで!?なんか意外だけど似合ってるねー。いいじゃんいいじゃん青春で」

ケタケタと女らしさの微塵もない笑いをこぼす莉桜を、愛は最悪だ…と頭を抱えるような思いで見つめていた



「その彼氏の姿が見えないけど…どうしたんだろうね」

「ああ…またサボりか寝坊かな」

キョロキョロと教室内を見渡す莉桜
カルマの姿がない事を確認すると、つまんないの、と口をへの字に曲げた



「本当に…何やってるんだかあいつは…」


一緒にいない時間の方が珍しくなった二人
こうやって離れている事にいつしか寂しさを感じていた愛は、急いで気を引き締めた



(しっかりしなきゃ…)











季節は春

新しい生活が、始まろうとしていたーーーーー
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