枯れるまで愛して**


□約束の時間
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「な、なんであんたが…」

口元をひくつかせながらカルマを指差す愛

「俺がこの順位でビックリした?ちょっと勉強しただけでできるもんだよねー。ま、しなくても俺いっつも10位以内に入ってるけど」


「はあ!?」


けろっと爆弾発言をかますカルマに、思わず驚きの声を上げた

素行不良で態度の悪い彼が自分より成績がいい
未だありえないと思っている愛の心情を察してか、カルマはこう続けた

「成績さえ良くしてれば教師連中なんてそううるさくないんだよねー、教室では担任はうるさいけど、実は他の生徒を前にして示しがつかないからとかそんな理由だし。」

「嘘…」


ぽかんとしている愛に、カルマはほんとほんと、と笑う





「それじゃあ勝負は俺の勝ち。約束、覚えてるよね?」

「…わ、わかってる…」

悔しそうに口を曲げている愛
そんな姿を見てなお、カルマは笑っていた




「んじゃ、俺とデートしようよ。愛」





・・・・・・・・


「はああああああぁぁあ!?」

一拍おいて素っ頓狂な声を上げる愛
いきなり何言い出すの!?とカルマに噛みつきそうな勢いで大声を上げる


「えー、だって約束でしょ?拒否権はないけど」

「だっ、だからってデートなんて…」

付き合ってるわけでもないのに…と呟く愛



「んじゃ、付き合う?」

「お断りします」








「…ふーん」

即答する愛に、カルマは不愉快そうに口を尖らせた
すると、彼は突然顔を背けたままの愛の顔を両手で押さえ込むと、無理やり自分の方へと向ける



「…っ⁉︎な、なにする… 「あんまり可愛くないこと言ってると、またキスするよ?」

「っ!」


目を見開かせながら睨みつけてくる愛に、カルマはからかうようにわざと気にしているであろう言葉を口にした

とんでもない脅しをされた愛は、咄嗟に口をつぐむ


「素直な奴は嫌いじゃないよ、俺従順な子好きだし」

どこかどんよりとした黒いオーラを出しながらカルマは微笑んだ
思わずゾッとした愛は青ざめながら震える子犬のように固まっていた


「…こ、この腹黒性悪男」

「なんとでもいいなよ」

愛の文句を物ともせず、カルマは自分よりも小さな彼女の頭を優しく撫でた




「じゃ、詳しいことは後で」

ひとしきり愛をからかい、満足したのか、カルマはヒラヒラと手を振りながらまだ生徒で溢れかえっている廊下の中へと消えていった







「………悪夢だ」

愛が呟いた言葉は、哀しくもその場に静かに溶けていった
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