枯れるまで愛して**


□テストの時間2
2ページ/5ページ





「あーあ…やっちゃった」



一方のカルマは、ため息をつきながら電柱に身を預け、ため息交じりにそう呟いた。

愛を前にするとどうも抑えがきかなくなる

ダメだ、と自分に言い聞かせても、勝手に体が動いてしまった





気がつけば愛にキスしてて
目を潤ませて自分を見上げる姿を見て、ますます自分の欲を抑えられなくなった





自分だけのものにしたい
もっと触れたい
誰にも渡したくない






いつから自分はこんなに欲深い人間になったのだろう、と苦笑いする


真っ赤になる愛が可愛くて
掴んだ手も離したくなくなった





「わかった…から…離して…」

いつものちょっと強気な愛が弱々しく自分に懇願してくる

かわいいなあ。と心の中で思いつつ、俺は意地悪く「何が?」って聞いた






「…か、かるま…」





か細い声で自分の名前を呼ぶ愛
いじらしくて愛しくて







思い出すと、自分まで頬が熱くなってくる。
まったくずるいなあ…と目を伏せ、カルマは笑った



「怒ってるよね〜、きっと」

怒ってまた距離を置かれるんだろうな、と今更後悔した所でもう遅い

髪をぐしゃぐしゃとかきながら、足先の石ころを蹴飛ばす


「あーあ…」


珍しく複雑な表情を浮かべるカルマ。
だが、すぐにその表情は消え、いつもの余裕のある笑みに変わる





「そーだ。あの約束があったんだっけ」





目を光らせ、含みのある笑みを浮かべるカルマ
彼がこの顔をするときは、何か企んでいるときだ。



「ま、明日を楽しみにってね。」






******





次の日

どこか浮かない気持ちで、おぼつかない足取りで学校に向かう愛


今日はテスト返却日。
昨日の出来事もあり、これを悪循環というのだろうか


いつもの通り道
角を曲がればいつもそこにはカルマがいるはずだったが、今日は珍しく姿が見えなかった




「…珍しい」



てっきりまたいつものように絡んでくると思い、身構えていた愛だったが、いないとわかりフッと肩の力を抜いた。

「…」

珍しく静かな朝の通学路。

どこか物足りなさを感じながらも愛は足を進めた
















「おはよー、愛ちゃん」

「おはよう、渚君。」



学校に着けば、渚が走って駆け寄ってくる

「昨日は大丈夫だった?」
「ええ!?うん、何もなかったよ大丈夫!」


昨日からまだ心配してくれていたらしく、渚が心配そうに尋ねてくる


「今日テスト返却だね…愛ちゃん、自信ある?」

「うーん…なんとも言えないな」

自信なさそうに眉を下げる渚
それは愛も同じで、どこか胸騒ぎがして落ち着かなかった。



(なんだろ…すっごく胸騒ぎが…)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ