枯れるまで愛して**
□テストの時間
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カリカリカリカリカリカリ
シンと静まった教室に、シャーペンが放つ無機質な音だけが響く。
(今の所、ほとんどの問題は簡単に解ける。あとはミスのないように気をつければ、何も問題はなさそう)
唯一苦手教科である英語だけが心配であったが、この調子であれば英語もいい成績を取れるであろうと愛は確信した。
(打倒赤羽カルマ…その余裕でいっぱいの憎たらしい顔を完膚なきまで叩きのめしてやるわ)
愛の手の中にあるシャーペンを折れそうなほど力強く握った。
《じゃあさ、学年の総合で順位が高かった方の命令を一つだけなんでもきくっていうのは?》
「…」
あの約束を思い出し、愛は動かしていた手を止めた。
(なんでも一つ…か
ーーーあの時は咄嗟に思いついて、ストーカー行為を禁止、とか言ったけど
私は別に…………………)
カシャン、と手からペンが滑り落ち、机の上に落ちた
その音に、思考の海から引き戻される愛
(な、何考えてるの私…)
ブルブルと頭を振り、邪念を払う
テストに集中しなきゃ、と再びペンを握るが、やはり気がつけば赤羽カルマが脳内にいた。
(集中できない…なんでこんなに頭から離れないの…っ)
そんな事を思っていたところで脳内からは消えやしない
愛の頭の中はいつの間にかカルマでいっぱいになっていた。
「〜ッ」
一体何なの…!?
なんで私こんなにあいつのこと…!
いっつもからかってくるし
いっつも何考えてるかわからないし
いっつもバカにしてきて
でも優しくて
(ああああああも一体何考えてるんだ私は…」
完璧に集中力を削がれた愛は、ずっとこの調子で悶々としていた。