枯れるまで愛して**


□過去の時間2
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やはり、愛がカルマに抱いた印象は、次の日になっても変わることはなかった。


「おっはよー、西森さん」






通学路を通り駅へ向かっていた愛の前に、突然彼が現れた。


「…おはよう」


なんでここに、と心の中で思いながら、愛はなるべく関わらないようにと軽く挨拶を交わし足早に駅へと向かった。



「俺、西森さんと家の方向同じなんだよね。」

「そう、奇遇ね。だからと言って私を待ってなくて結構ですよ」


スタスタと歩く愛より一歩後ろの距離を保ち、カルマは愛に話しかける。

チラリとカルマを見るが、彼は昨日と変わらず、何を考えているか読めない微笑みを浮かべながら自分の後ろを歩いている



(どうも苦手だ…この人)

何を考えているのかわからないし
自分を面白がっているようにしか見えない


「西森さんってなんで椚ヶ丘に入ろうと思ったの?」

「特に理由なんてない。周りに流されて何となく入っただけ。」


淡々とそう答えると、カルマはふーん、と答えた。



電車に乗っても
学校へ向かっている間も、カルマのこのような質問は続いた。












(一体なんなの…あぁそうだ…私この人と席隣だったっけ…)

愛ははああああ、と項垂れるのであった。












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愛は、どうも赤羽カルマが苦手であった

不敵な笑みも、発する言葉も

どこか計算じみているというか、なんというか

つまるところ、やはり愛は赤羽カルマが苦手だった








いつも目が合えば、何を考えているか分からない笑みを浮かべ

暇さえあれば話しかけてくる

そんな彼を不思議にしか思わなかった。


(私と話したところで、何も面白くはないのに)

他人にそこまで気を遣える性格ではない。
話題を合わせることは苦手だし
同年代の子との趣味も話題も合わない

こんな自分と仲良くなってもつまらないだろう…と愛はいつもそう思っていた。



だから必要以上に人と関わったりしないし
自分から親しくなろうともしなかった。

上辺だけの友人を作ってヘラヘラするよりはマシであろう、と愛自身が人との壁を作っていた


そんなのも御構い無しにズカズカと近寄ってくるのが
赤羽カルマである。
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