渇き**


□three days
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「あのっ…好きです!!俺と付き合ってください」




放課後 校舎裏

運動部の掛け声が響き渡るこの時間

告白するにはもってこいの王道スポットで、リナは男子生徒から告白されいた







「………ごめんなさい。私、先輩とはお付き合いできません…」



ーーーーもちろん、返事はNOなのだが


一学年上であろう先輩は、頭を下げるリナを見て、シュンとした表情を浮かべていた



「そっか…うん、でも気持ちを伝えられて良かったよ」

「本当にごめんなさい…お友達として、これからも宜しくお願いします」






(…てゆーか、名前すら知らないのにお友達も何もないんじゃない???)

彼女の心中など知る由もない男子生徒は、気まずそうに目を泳がせると、そそくさとその場を去っていった










「…っち、誰にでもヤらせてくれるんじゃねーのかよ」










すれ違いざまに呟かれた言葉に、リナは一瞬眉間にしわを寄せた


変な噂のせいで、どうやら誰とでも関係を持つ、なんてイメージが植えつけられたらしい







「……私だって相手くらい選ぶわよ。ばーか」


満たされたいときに満たしてくれる

温もりをくれる人

お付き合いとか面倒なものじゃなくて、割り切ってくれる相手がいるもの








それで満足なの




「………………」



はあ、とため息をついて

リナは裏口から校舎に入っていく







(愛してくれる人がいるのに…どうして私の飢えは満たされないんだろう)

赤くなっていく空

窓から入ってくる綺麗な光が、並べられている机を照らしていた






「…綺麗」

思わず景色に見惚れながら、ゆっくりと教室に入っていく

私の心は曇っているのに

どうして空はこんなにも晴れて、美しいんだろう






[人形みたいじゃん]

先程カルマに言われた言葉が脳裏によぎる









いつから心から笑わなくなったんだろう

いつから本当の自分を隠すようになったんだろう








(全部、吐き出せたらいいのに)

うっすらと目に涙が浮かぶ






「……嫌だな、なんで…」

目尻に浮かぶ涙を拭うと、窓に手をかけ小さく呟いた






「らしくないなあ………………」
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