ヒソカトリップ夢(完結済み)

□ゾルディック家
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最終試験会場のホテルを後にしたナマエは、ヒソカの私用船でパドキア共和国へ向かっていた。
「私用船持ってるって、ヒソカは金持ちだったんだね」
「天空闘技場のファイトマネーとかがあるからね♦それに、蜘蛛でもそこそこ活動してるし♣」
「へぇ〜」
「なんだい?意外そうな顔をして」
「ヒソカが蜘蛛でちゃんと活動しているのが意外だっただけ」
「ボクだって団長と闘いたいからね♥たまには活動に参加しているよ♠」
ヒソカの意外な一面を見たナマエは、その掴みどころのない部分に少し納得した。全ては自分のために動いている。他人のために動くことはほぼ無いのだろう。
そんなヒソカが自分に執着する理由がわからず、ナマエは顔を顰めた。
「どうしたんだい?そんな顔は似合わないよ♣」
ヒソカは心配そうに問いかけてきた。
「ヒソカってさ」
「うん♠」
「基本的に自分のためにしか動かないよね」
「そうだね♦」
「なんでうちに執着してるの?」
「ナマエの事が好きだからさ♥」
「うちが聞きたいのはそんな答えじゃない。ヒソカがうちに執着するメリットが解かんない」
「ナマエと付き合うのに、メリットもデメリットも考えたことないな♣闘いたい相手以外で【好き】だという気持ちになったのも、そもそもキミが初めてだ♥」
「そっか……」
どこか納得しきれていないナマエだが、これ以上押し問答しても結果は変わらないだろうと話を切り上げた。

私用船というだけあって、ナマエとヒソカはゴン達が着く前日にはパドキア共和国に着いていた。
「ヒソカはどうするの?」
繁華街にある高級ホテルの室内でナマエはヒソカに訊いた。
「ナマエが戻ってくるのを、ここで待つよ♠」
「一緒に来ないんだ?」
「ボクが行ったら、逆にあのコに会えなくなりそうだからね♣」
「イルミ関係?」
「うん♦」
「分かった。じゃ、一人で行ってくるよ」
最終試験後に一通りの衣服をヒソカに買い与えられたが、ナマエが選んだ服は黒系ばかり。この日も黒いシャツに黒い綿パン、黒のエンジニアブーツだった。
「キミは黒が好きなんだね♣」
「華やかなのが嫌いなんだよ。【汚れ】が目立つしね」
「そうなのかい?」
「うん。黒だったら返り血を浴びても、そんなに目立たないでしょ?」
「そういう【汚れ】か♥」
ヒソカはクツクツと笑いながらナマエを見送った。
ホテルを出たナマエは裏道に入り、周囲に人がいないことを確認して【漆黒の羽(クロウ・ソング)】を発動した。観光バスで行くよりも、こっちの方が早くククルーマウンテンに着くからだ。

【試しの門】の前に降り立ったナマエに、ゼブロは目を丸くした。突然空から羽の生えた人間が降り立ったのだから。
「イルミはいる?」
【漆黒の羽(クロウ・ソング)】を解除せずにナマエはゼブロに問うた。
「イルミ坊ちゃんのお知り合いで?」
「そ。いきなり求婚されただけだけどね。で、いるの?」
「少々お待ち下さい……」
ゼブロは執事室へと電話で対応の確認を行った。その間、ナマエは【試しの門】を見上げていた。
7まである扉を見ているナマエにゼブロが声をかけた。
「イルミ坊ちゃんは仕事で不在です。その代わり、貴女が来たら本宅までご案内するようにおっしゃっていたそうです」
「そう……じゃあ、あの扉から入ればいいんだよね?」
【試しの門】を指さしながら、平然とした顔で言うナマエにゼブロは驚愕した。
「何故それをご存知で?!」
「企業秘密、かな」
「はぁ……とにかく、【試しの門】から入って執事室まで行って下さい。そこで執事が貴女をお待ちですので」
「ん。わかった」
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