ヒソカ夢

□二次試験
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二次試験会場で時間を待つ事数分。ナマエはある事が気になっていた。
「おかしい……」
「ん?」
「獣の気配じゃないのに、建物からは猛獣並の唸り声が聞こえてるんだよ?」
『絶対おかしい』と呟きながら考え始めるナマエ。
ヒソカはそんなナマエを愛おしそうに抱き締めていた。

やがて時計が12時を指し、建物の扉が開いた。
扉の中には巨大な男性と華奢な女性がいた。
どうやら、この猛獣の様な唸り声は巨大な男性から発せられている様だった。
「どお?お腹は大分空いてきた?」
「聞いての通り、もーペコペコだよ」
「……この唸り声は腹の虫かよ!」
ナマエは1人ツッコミを入れるが、ヒソカがクツクツ笑うだけだった。
「そんな訳で、二次試験は料理よ!!美食ハンターのあたし達2人を満足させる食事を用意して頂戴」
「!?」
「料理!?」
華奢な女性の発言に、一同がざわついた。
「まずはオレの指定する料理を作って貰い」
「そこで合格した者だけが、あたしの指定する料理を作れるって訳よ。つまりあたし達2人が『美味しい』と言えば晴れて二次試験合格!!試験はあたし達が満腹になった時点で終了よ」
男の方は結構な量を食べるだろうが、女の方は直ぐに満腹になるだろう。そんな事を受験生達は思っていた。
「オレのメニューは――豚の丸焼き!!オレの大好物。森林公園に生息する豚なら、種類は自由。それじゃ、二次試験スタート!!」
二次試験前半、参加人数は148人だった。
ナマエはヒソカと連れ立って、森の中へと足を踏み入れた。豚自体は直ぐに見つかったが、その豚は狂暴だった。
ナマエ達の姿を見つけると、こちらが何もしていないにも関わらず突進してきたのである。
「おっと……」
ナマエとヒソカはその豚の集団を樹上に飛んで避ける。
「んー……どうしようかな」
「ナマエ、ちゃんと捕獲出来るかい?」
「それは問題ないよ。面倒だけど……【空の境界(リアルワールド)】、屠れ!【十六夜(イザヨイ)】!!」
近くに待機していた【十六夜】を和弓に変化させると、ナマエは狙いを定めて豚ことグレイトスタンプの額を射抜く。するとグレイトスタンプは鳴き声を上げて倒れた。
「よし!予感的中!!ヒソカ、狙うのは額だよ!」
「OK♥」
ヒソカもトランプでグレイトスタンプの額を攻撃し、2人揃って豚を手に入れた。後はこの豚を焼くだけだが、丸焼きにするだけの火が無い。
とりあえず倒した豚を持って場所を移動した2人。
火をどうしようかと思った時に、ナマエは思いついた様に【白夜(ビャクヤ)】を喚び出した。
「何用か、ナマエ」
「狐火出してくれない?」
「何故じゃ?」
「この豚で丸焼き作りたいから」
2頭のグレイトスタンプを指差しながら言うナマエを、【白夜】は鼻で笑った。
「ハッ……そんな下らぬ事に、我が同胞の力は貸せぬな。用はそれだけか?我は戻らせて貰うぞ」
ナマエの制止も聞かずに、【白夜】はさっさと姿を消した。
「うー……ライターの火じゃ、焼くだけの火を熾すのに時間かかるし…………って、あの手があった!!」
叫ぶやいなや、ナマエは非常用に持っていたライターをヒソカに渡した。
「?」
「ヒソカ、火をつけてちょっと持ってて」
「何をする気だい?」
「それは見てからのお楽しみ!」
ナマエはグレイトスタンプを2頭横並びにすると、ヒソカが点けたライターの火に向かって言葉を発した。
「【空の境界(リアルワールド)】、火よ!燃え上がれ!!」
ナマエの声に従い、ライターとは思えない程の火がそこに存在した。ナマエはその火に手を翳すと、そのままグレイトスタンプの方へと火を移動させた。
「燃やせ!」
すると、ナマエの手の中にあった火がグレイトスタンプへと移動し、燃やし始めた。
「ヒソカ、もうライター消していいよ」
「ああ♣何をしたんだい?」
「試しに火に命令してみたんだよ。ま、反応してくれたから結果オーライだね」
カラカラと笑いながら言うナマエに、ヒソカは目を瞠った。昔ナマエは“自然の力を借りる”と言っていた。それなのに、人工的に作り出した火を見事に操ってみせたのだ。

「そろそろ焼きあがったかな?――消えよ!」
先程までグレイトスタンプを飲み込んでいた業火が、ナマエの一言で跡形もなく鎮火した。
「キミの能力は、底が知れないね♦」
「うん。自分でも驚いてる」
全く驚いている素振りを見せないナマエに対し、ヒソカは彼女が何処か遠くに行ってしまいそうな思いに駆られた。
そんな思いを心の奥底に追いやり、ヒソカはナマエと共にグレイトスタンプを持って試験官の所へと戻った。

「「「ヘイ!!お待ちィ」」」
ナマエ達が試験官の元へ着いた頃、他の受験生達も同じ様にグレイトスタンプの丸焼きを持って戻って来た。
「うひゃあ〜」
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