ハンター夢

□飛行船×夜×休憩
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イルミの行動で顔に集まった熱が冷めた頃、ようやくシャワー室を出た私は鉄臭いニオイが鼻についた。ニオイの元を辿って行くと、上半身裸で汗だくになったキルアと出会った。
「キルア、鉄臭いよ」
「ナマエ姉ちゃん?!」
殺人スイッチの入っていたキルアの向こうには、バラバラになった人間が二人。ニオイの元凶はコレか。
「コレ、審査委員会に片付けてもらうからシャワーでそのニオイどうにかしておいで。鉄臭くてかなわんから」
「怒らないの?」
「私が怒ってその二人が生き返るなら、いくらでも説教したげるよ。でも、やっちゃったもんはどうしようもないでしょ」
実際、グロいもん見せんなとは思った。けど、起こってしまった事はどうしようもない。時間を巻き戻すことは出来ないのだから。
「変わってないね、ナマエ姉ちゃん」
「キルアは変わったね。良い意味で。あ、シャワー室の鍵は開いてるから」
そう言い残して、私はキルアと別れた。
審査委員会の人を探し、受験生同士の諍いで飛行船内で二人死んでいる旨を伝え、ついでにシャワー室の鍵を返却した。
その足で変態オーラを放っているヒソカの元へ向かう。ヒソカの近くであれば、寝ている間に変に手出ししてくる輩もいないだろうと分かってのことだ。
「やぁ♦ナマエか♥」
「近くで寝ていい?」
「ボクのかい?構わないよ♠手出ししない自信はないけど、それで良いのであればね♥」
「嫌われるようなこと、わざわざしないと思ってたけど違うんだ?なら他の――」
「手出ししないよ♦嫌われたくないからね♣」
「有難う」
「どういたしまして♥」

目覚めると、眼前にはヒソカの端正なピエロメイクの顔があった。
「……」
昨夜(といっても真夜中だが)ヒソカの隣で眠りについた事は覚えている。なのに、目覚めたら膝枕されているのは何故だ??
「おはよう♥」
「……おはよ」
「目覚めのキスは?」
「要らないし、しない」
「残念♣」
起き上がり、何故あの体勢だったのか考える。周りには見事に他の受験生はいなかったから、他の人に聞くのは無理だ。
「何を考えているんだい?」
「寝起きの体勢について」
「何だ、そんな事か♦ナマエがもたれ掛かってきたから、膝枕しただけだよ♠」
「ごめん、足大丈夫?」
「なんともないよ♦ナマエの寝顔を見れただけでも、お釣りがくるくらいだ♥」
変態発言はスルーし、固まった体をほぐす。久々の野宿モドキは体が痛い。そんな事を考えていると、船内放送が流れた。
《皆様、大変お待たせ致しました。目的地に到着です》
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