ハンター夢

□キルア×イルミ×ゾルディック家
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イルミが立ち去って数分。ボ〜ッと窓の外を眺めていたら、何やらドアの外が騒がしい。はっきりとは聞き取れないが、誰かが居るのは確かだ。

煩いのが煩わしくなり、ドアを開けるためにベッドから出てドアに向かう。
「うっせーんだよ!」
怒り心頭にドアを開けると、そこにはキルアと何故かカルトの二人がいた。
「ナマエ姉ちゃん!?もう起きて大丈夫なのか?」
「ナマエ姉様、大丈夫ですか?」
二人の心配そうな顔を見たら、煩さに対する怒りが吹き飛んでしまった。癒しって大事だね、マジで。特にカルトから話しかけられたことで癒し効果アップだ。
「大丈夫だから、二人とも落ち着いて」
そわそわしている二人を落ち着かせ、部屋へと招き入れた。

「ねぇ、さっき兄貴と戦ってた時の変な技何?」
「なぜ自分を撃ってるのにイルミ兄様に攻撃出来てるんですか?」
間違った。うん、判断を間違った。部屋に入れた途端に、先ほどの手合わせで召喚したペルソナについての質問攻めだ。
「それは企業秘密。詳しい事は『自称』父親にしか話してないから」
「「『自称』父親?」」
「そう。あくまでも『自称』父親。本当の父親じゃないけど、父親を自称してるオヤジがいるの」
「へぇ〜。どんなヤツ?」
「一流のハンターだよ、一応は」
「一応なんだ」
キルアは笑いながらこっちを見ている。カルトはもじもじして、何か言いたげだ。
「どうしたの?カルト」
「あの……ナマエ姉様が本当の姉様になるって…………本当ですか??」
「へ?」
「お母様達がそう言ってました」
「いや、それは違――」
“違う”と言いかけたその時、私の声に被せるように違う声が聞こえてきた。
「本当だよ。あくまで“予定”だけどね」
「イルミ?!」
そう、いつの間にかイルミが部屋に入ってきており、『婚約者候補』だと弟二人に告げた。
「やりー!これでいつでもナマエ姉ちゃんとゲーム出来るじゃん」
「ナマエ姉様」
嬉しそうに抱きついてくる二人。いや、抱きつかれるのは癒しだし嬉しいんだけどね……
「イルミ、その話は――」
「オレは構わないよ。ナマエが婚約者で」
「だから、断ったじゃん」
「断るなら母さん達に直接言って。オレの意見は通らないから」
あのキキョウさん相手に拒否しなくてはならないのか――考えただけで頭痛がしてくる。あの人、自分の世界に入ったら周りの意見聞かない人だもんなぁ。

「わかった。なら、イルミは『自称』婚約者で」
「いいんだ?」
「『自称』ならいいよ……キキョウさん相手に断固拒否は今の私には無理すぎる」
「そ。なら母さん達にもそう伝えておくから」
「りょーかい……」
力なく項垂れる私とは対照的に、キルアとカルトは嬉しそうにはしゃいでいる。この顔を見ると色々と罪悪感が襲ってくるのだから恐ろしい事この上ない。
そして、イルミと手合わせしてぶっ倒れる回数が増えてる気がする。

「そうだ、明日ハンター協会から迎えが来るって爺さんからの伝言」
「明日?またえらい急だね」
「うん。昼頃には試しの門の前に飛行船が到着するって」
「ナマエ姉ちゃん帰っちゃうの?!」
「まだ一緒にいたいです!」
「我儘言うな、二人とも」
ブーブー言う二人を、イルミはたったの一言で黙らせた。長男の貫禄恐ろしや。いや、【念】で黙らせたのか、この場合は。嫌な使い方するなぁ。

なんだかんだ言って、結局ゾルディック家には一ヶ月程滞在させられた事になる。別れ際に、キキョウさんには『いつでも帰ってらっしゃい』と泣かれ、キルアとカルトには『早く帰って来い』と約束させられた。
意外なことにイルミには何も言われず、私はゾルディック家を後にし、ハンター協会へと戻った。
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